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[MOM3141]静岡学園FW岩本悠輝(3年)_謙虚に「自分はハルの代わり」も、3発で得点ランク首位タイ浮上!

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前半終了間際、2点目を決めた静岡学園高FW岩本悠輝(右)がアシストのMF松村優太と“かめはめ波パフォーマンス”

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 選手権準々決勝 徳島市立高 0-4 静岡学園高 駒沢]

 本人は謙虚に「自分はハルの代わり」と繰り返す。だが、もはや“代役”の枠には収まらないような大活躍だ。静岡学園高はFW岩本悠輝(3年)がハットトリックを達成。これで今大会の得点数を5へ伸ばし、得点ランキング首位タイに浮上した。

 まずは前半16分、MF井堀二昭(3年)の左FKをニアでヘディングシュート。これがファーサイドのポストを叩いてゴールに吸い込まれる。「カズ(井堀)のボールが結構良くて、前の日から練習していて触ったら入ると思っていた」というゴールで波に乗ると、前半終了間際にはMF松村優太(3年)の右クロスを頭で叩いて2点目のゴールを奪った。

 そして、アシストの松村とともに“かめはめ波パフォーマンス”。岩本は、後半22分にも左SB西谷大世(3年)のクロスのこぼれ球から右足シュートを決めてハットトリックを達成した。「カズ(井堀)もナオキ(MF小山尚紀)も決めれて自分も決めたいなと思っていたので、決められて良かったです」。50m走6秒ジャストの俊足ストライカーは相手のマークを外す動きからゴールを連発。3得点という結果に加えて守備の貢献度も非常に高かった。

 チームの1点目、2点目はいずれも岩本の献身的な守備によって獲得したセットプレーから生まれたものだ。3点目も岩本を含めた数人でボールを奪い返してからのショートカウンターで岩本が決めたゴール。スピードを活かして相手DFとの距離を詰めてボールを引っ掛けるなど、岩本は攻守両面で存在感を発揮していた。

 岩本は「県予選はハル(加納大)が出ていて、自分はハルみたいに(前線でボールを)収めることができない。自分は走ることが結構得意なので、守備の部分で貢献できて良かった」。これまで、静岡学園のCFは高校入学前から注目されていたFW加納大(2年)で、選手権予選決勝でも2得点を奪うなど活躍をしている。

 だが、県予選後に加納が負傷。代わりにチャンスを得たのが岩本だった。岩本は「本当はハルが先発なので、ハルが怪我している分、自分がやらないといけないと思っている。自分も最後の大会なので、ここで活躍できたら良いと思っているので頑張っています」。加納もコンディションを上げてきているが、岩本は“自分が出続ける”という気持ちを表現するようなプレーを続けている。

 その岩本の気持ちは川口修監督にも伝わっていた。「それは物凄く感じますね。出るために自分が一発やるしかないと。自分で、人ができないくらい走って、自分が一発決めるしか無いと思って走っている。それが良い方向に出ている」と頷く。ここから準決勝までまた競争。岩本はここで満足するのではなく、準決勝の先発も全力で奪いに行く。

 大阪市ジュネッスFC時代に静岡学園から声がかかり、練習試合でその足元の上手さを見て、自分の課題を向上させることも目指して進学を決めた。技術面では他の“上手いヤツら”には敵わない。だが、「違い出すためには僕はオフの動き」と積み上げてきた武器や献身性で今、結果を残している。3得点したあとも謙虚に“代役”という言葉を発していたが、全国での得点王の可能性も十分。この日“主役”となった俊足FWがまだまだ全国舞台で走り回り、ゴールを奪う。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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