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[MOM3143]帝京長岡MF谷内田哲平(3年)_「追い込まれた」“14”が新潟の歴史を変えた

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帝京長岡高MF谷内田哲平(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.5 高校選手権準々決勝 帝京長岡1-0仙台育英 等々力]

 試合開始早々の“一発回答”だった。前半1分、帝京長岡高を新潟県勢初の全国ベスト4に導く決勝ゴールを決めたのは、3回戦・神戸弘陵高戦でハーフタイムに途中交代となっていたMF谷内田哲平(3年)。試合後には「追い込まれた状況だった。シンプルに結果を残すしかないと思っていたのでホッとしている」と心境を振り返った。

 帝京長岡の黄金世代をまとめる主将であり、伝統の『14』を背負う大黒柱。プレーヤーとしての評価も高く、巧みな技術と豊富なプレービジョンを武器に来季の京都サンガF.C.加入が決まっている有望株だ。ところが今大会では初戦・熊本国府高戦(○3-0)でハムストリングを痛めるなど「コンディションが上がらない」中での出場が続いていた。

 初戦と連戦で行われた3回戦では、前半40分間を終えたハーフタイムに途中交代。「(監督からは交代理由で)何かを言われてはいないけど、コンディション的にも良くなかったし、プレーも良くなかった。代えられた時は素直に受け止めていた」。無力感を覚えながらもベンチで戦況を見守った背番号14は「1日の休みで戻す」べく、中1日での準々決勝に向けて全てをかけてきた。

 帝京長岡にとっても8強戦は一つの目標だった。昨季は準々決勝で尚志高に敗れており、新潟県勢初の4強入りに向けては「ここが勝負」のステージ。だからこそ、故郷を背負って戦ってゴールを決めた谷内田は「毎試合ヒーローが変わる中、今日はたまたま自分が得点できたけど、チーム全員で勝てたので良かった」。自らの活躍よりも、まずはチームで成し遂げた偉業を誇った。

 その上で「最初に歴史を変えられた『14』になることができたのはうれしい」と笑み。14番は初めて8強を入りを果たしたMF小塚和季(現大分)も背負ってきたエースナンバーだが、先輩と同じ長岡ジュニアユースFCから育ったMFは「結果を残す番号だと思うので、今日みたいな結果を残したい」と新たな活躍へのモチベーションも語った。

 そうした悲願成就の一戦を経て、ここからは帝京長岡にとっても新潟県勢にとっても未知の領域となる。準決勝の相手は前回王者の青森山田高。「強いというイメージしかない。山田を倒してこそ日本一だと思っているので、いい相手だと思う」。黄金世代の大黒柱はこれまでどおり、チャレンジャー精神で向かっていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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