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「意味がある」ベスト8、後輩に託す仙台育英DF小林虎太郎「来年、再来年に活かしてもらいたい」

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仙台育英を牽引した小林虎太郎主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.5 高校選手権準々決勝 帝京長岡1-0仙台育英 等々力]

 開始1分を満たない時間帯での失点。残り時間は十分にあるかと思われたが、それでも仙台育英高(宮城)のゴールは遠かった。

 仙台育英にとって34回目の選手権を終え、城福敬監督は大会を通して「成長していった」と感じている。1回戦から1-1(PK3-0)、1-0、0-0(PK9-8)と接戦をものし、同校にとって30年ぶりの準々決勝へ。「一戦一戦重ねるごとにみんな進化していった」(小林主将)と選手自信も成長を実感しており、トーナメントを勝ち上がる定説である、初戦に勝利し勢いに乗れたことが大きかったようだ。「1回戦のあの緊張感の中で(GK佐藤)文太がPKを止めてくれていたので、チームが勢いに乗れたかもしれないです」。4試合で2失点。DF小林虎太郎(3年)主将は「粘り強い守備を貫き通せた」と守備面での手応えをつかんでいた。

 一方で、大会を通して課題も見出している。「今日の試合も最後運動量が落ちてしまった。個人としても、チームとしても言える」。卒業後は明治学院大学に進学する小林は「自分は大学でもやるので、もっと体力をつけないといけない」とレベルアップを誓う。さらに、「育英とは比べものにならないくらい上手かった」と帝京長岡戦での力不足も痛感し、「基本的なところを見直したい」と次のステージへ意欲を見せた。

 現在のチームは新人戦とインターハイはともに県準決勝で聖和学園に敗れており、選手権県予選では“3度目の正直”で聖和学園を下し優勝をつかんだ。「自分たちは弱い代と言われてきて、新人戦、インターハイと落として。それでもここまでこれたのは、1年生、2年生の底上げがあったので」。帝京長岡戦でも先発は1年生2人、2年生4人と3年生は半数にも満たなかった。「自分たち3年生のレベルの引き上げにもなった」とキャプテンは後輩たちに感謝する。

 2年連続で選手権2回戦で敗れており、当初の今大会の目標は「2回戦突破」。それが8強入りまで躍進を遂げ、「育英の成長にとっても、今回の選手権は意味があると思う」と貴重な経験を積んだ。1年次からメンバー入り、2年次にはレギュラーとして2試合で先発するなど、自身も早い段階で試合に絡んでいた小林は「来年、再来年に活かしてもらいたい」と後輩たちに未来を託した。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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