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「想像を超える」静学に屈した徳島市立、チーム率いた主将MF阿部夏己の存在

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ボランチのMF阿部夏己は主将として徳島市立を牽引した

[1.5 選手権準々決勝 徳島市立高 0-4 静岡学園高 駒沢]

 勝ちパターンに持ち込めず、快進撃はストップした。夏、冬ともにベスト8と躍進した徳島市立高(徳島)。インハイでは0-0からのPK戦を制して3連勝。今大会も再びその勝ちパターンで尚志を撃破すると、3回戦筑陽学園戦もCKからの決勝ゴールを守り、無失点で逃げ切った。

 徳島市立の歴史を塗り替える選手権8強入り。準々決勝も無失点の時間帯を長く続けたかったが、プラン通りに試合を運ぶことはできなかった。主将のMF阿部夏己は静岡学園の印象を聞かれ、「めちゃくちゃうまい。自分たちの想像を超えるスピード感、足元があった。奪えるシーンもあったんですが、そこから攻撃に移ることはできなかった」と完敗を受け止めた。

 愛媛U-15から愛媛U-18には昇格できず、親元を離れて徳島市立に入学した。「高校ではユースの選手にも負けないように取り組もうと決めていた」。挫折を乗り越え、覚悟を持って打ち込んできた高校サッカー。支えになったのは両親からもらった言葉だった。愛媛を離れる際、「後悔しないように、きてよかったと思える3年間にしなさい」と背中を押された。歴史を塗り替えたチームの主将として名を刻み、その“約束”を守った。

 球際で激しく戦い、ボールを奪えばパスを配給するボランチ2人はチームの生命線だった。コンビを組んだMF川人太陽(3年)は「夏己がおったからこそ成長できた。練習中ずーっと声をかけて、リーダーシップを執ってくれた」とライバルの存在に感謝した。

 替えが効かない選手であり、チームを支えた精神的支柱。河野博幸監督も絶大な信頼を置き、「中には挫けたり、諦めたりする人間もおる中で、本当に3年間頑張り切れたのは夏己以外はいない」と、誰よりもひたむきに努力を積み上げた主将をねぎらった。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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