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“最後の大会”は15分間で終幕…昌平MF大和主将「胸を張って帰りたい」

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昌平高MF大和海里主将

[1.5 高校選手権準々決勝 青森山田3-2昌平 等々力]

 最後の大舞台は途中出場途中交代。Jクラブからも注目を集めた昌平高MF大和海里主将(3年)の冬は15分間のプレータイムで幕を閉じた。「サッカー人生最後の大会だったので、素晴らしい舞台に立たせてもらったことに感謝して、目標には届かなかったけど胸を張って帰りたい」。最後はすっきりとした表情で会場を後にした。

 1-3で迎えた後半11分、今大会ここまで出番のなかった背番号9がピッチに送り出された。2年前の高校選手権では1年生ながらメンバー入りを果たし、切れ味鋭いドリブルを武器にプロ入りも期待されていた逸材。しかし、準々決勝の青森山田高戦ではボールを受けてもクロスが流れるなど存在感は発揮できず、同25分にピッチを退いた。

「選手権という舞台に最後に立つことができたり、チームの歴史を塗り替えることができたのは、キャプテンとしてしっかりできていたからなのかな……と自分では言いたいと思います」。試合後、夏頃から務めてきたというキャプテンの仕事を振り返った大和は晴れやかな表情でそう振り返った。

 もっとも、プレイヤーとしての出来には「未練はないけど、もっとこうできたのかなというのはある」と後悔を口にした。Jクラブからのオファーを受けたが、進学予定先での大学では現状「サッカーを続ける予定はない」という意思。「その気持ちのブレがプレーに出てしまったと思っている」との迷いがあったことも明かす。

 プロ入り回避という選択は、Jクラブの練習参加を経たことで「オンザボールの良さを出せない時、自分に何かいいところがあるのかと言われたら自信を持って言えることは何もなかったのが正直なところ。それを高校年代でも出せなかった」ことが決め手になったという。

「自分には身長、身体つき、ヘディング、守備の部分がない。良い部分は評価していただいたし、たとえば長所はオンザボールの部分だと思う。でも自分になかなかボールが入らない時に球際などチームに貢献できる部分が少ないのは高校年代でも感じていた」。スムーズに理由を述べる口ぶりからは、これまで悩み抜いてきた思考の跡を感じさせた。

 大和は今後の展望について「まだ何をするかは決まっていない」と話す。関東圏内の私立大に進学予定で、その先で今後のキャリアを模索していく構えだ。「最後の大会でこんなに素晴らしい経験をさせてもらえて良かったし、この選択が間違っていなかったと自分に言える第一歩にしたい」。まだ18歳。人生の選択肢は無限に広がっている。もちろん、望めば再びサッカーを始める場も—。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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