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最後の相手は“縁ある”帝京長岡…仙台育英GK佐藤文太は夢を託した「優勝しろよ、って」

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仙台育英高GK佐藤文太(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.5 高校選手権準々決勝 帝京長岡1-0仙台育英 等々力]

 高校生活最後の相手は、奇しくも故郷新潟の代表校・帝京長岡高だった。「新潟でも放送されるし、新潟県代表と戦えたことは縁があった。巡り合わせで楽しい高校サッカーの最後を迎えられた」。仙台育英高GK佐藤文太(3年)は積年のライバルたちに夢を託して大会を去った。

 1回戦の五條戦は10人での戦いを強いられながらもPK戦で勝利。2回戦の高川学園戦では1-0の完封勝利を果たすと、3回戦の日大藤沢戦でもPK戦を制してきており、今大会での仙台育英の躍進は頼れる守護神の活躍とともにあった。

 そうして迎えた準々決勝、アルビレックス新潟U-15出身の佐藤は帝京長岡との8強戦を迎えた。帝京長岡の3年生はエースFW晴山岬、サイドのFW矢尾板岳斗、主将のMF谷内田哲平ら長岡ジュニアユースFCでプレーしていた選手が中心。中学時代に何度も対戦してきた相手だ。

 そんな一戦は前半1分、晴山のクロスに飛び込んだ谷内田に決められ、早々に失点。その後、気を取り直した仙台育英は「あの失点のあとは全員が集中して守ることができた」との言葉どおり、佐藤も1対1の決定機を防ぐなど奮闘を見せたが、1点が遠く0-1で敗れた。

「上手いの一言。岬のポストプレーも、岳斗だったりは速いしうまい。自分としては嫌な選手だと思った」。そう振り返った守護神は試合後、チームの千羽鶴を託すため長岡帝京のロッカールームへ。「テツとか、克幸に優勝しろよって伝えた。岬とかは明るいやつなので優勝してくるよ!って」。故郷の代表校に日本一の夢を託したようだ。

 試合後、佐藤は「自分がいいパフォーマンスが出せたのも監督が1〜2年生が使ってくれた経験だと思っている」と城福敬監督への感謝を口にし、「1〜2年生が出ている選手が多いので、経験したことを活かして来年、再来年でベスト8につなげてほしい」と後輩に期待を寄せた。

 その上で、自身は今後のステージで活躍を誓った。卒業後は明治大に進学予定。「自分の進路は日本一を狙うチームに入っていく。今回ベスト8という結果を優勝という結果を見た上では不本意だけど、全国の高みを見られたのはいい経験になった」。選手権を沸かせた守護神が大学サッカー界で飛躍を遂げる。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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