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鹿島内定MF松村が劇的V弾!!静岡学園が後半AT4分の決勝PKで24年ぶり決勝進出

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静岡学園が1-0で矢板中央を下した(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 第98回全国高校サッカー選手権は11日、埼玉スタジアムで準決勝を行い、第2試合では静岡学園高(静岡)が矢板中央高(栃木)に1-0で競り勝った。静岡学園は鹿児島実(鹿児島)との両校優勝だった95年度大会以来、24年ぶり3回目の決勝進出。13日の決勝では24年ぶり2度目の優勝を懸け、大会連覇を目指す青森山田高(青森)と対戦する。

 試合は静かな立ち上がりを見せ、静岡学園がボールを保持しながらゆっくりと攻撃を組み立てた。前半3分、中盤でボールを奪ったMF松村優太(3年、鹿島内定)がそのままドリブルで運んで右足でミドルシュートを打ったが、枠外。矢板中央はしっかりと守備を固め、シンプルな速攻からチャンスをうかがった。

 ここまで全国大会4試合連続完封勝利で勝ち上がってきている静岡学園もDF阿部健人主将(3年)、DF中谷颯辰(3年)の両センターバックを中心に落ち着いて対応。膠着状態が続く中、静岡学園は前半22分、PA内で仕掛けたMF浅倉廉(3年)が個人技で2人をかわし、右足を振り抜く。しかし、ここはGK藤井陽登(1年)の好セーブに阻まれ、こぼれ球に反応したMF小山尚紀(3年)のシュートも藤井が弾き出した。

 2トップのFW西村碧海(3年)、FW多田圭佑(2年)を含め、フィールド選手全員が自陣深くまで下がって中央に分厚いブロックをつくる矢板中央。静岡学園は松村、小山の両サイドを起点に局面の打開を図るが、なかなかこじ開けられない。矢板中央は前半38分に選手交代を行い、左サイドハーフのMF左合修土(3年)に代えてMF宮野流斗(3年)を投入した。

 静岡学園はたびたびCKのチャンスを獲得。準々決勝の徳島市立戦(○4-0)でもセットプレーから2アシストを記録したMF井堀二昭(3年)の精度の高いキックからゴールを狙うが、前半42分、ショートコーナーから井堀の左クロスに合わせた阿部のヘディングシュートもゴール右に外れた。

 スコアレスで前半を折り返すと、矢板中央も徐々に前からプレッシャーをかけ始める。守備時も多田は前線に残り、カウンターに備えた。後半8分、西村に代えてFW久永武蔵(3年)を投入。直後の9分にはカウンターからこの試合初めてのチャンスをつくり、宮野が左足でミドルシュートを打ったが、GK野知滉平(2年)が好セーブを見せた。

 攻めあぐねる展開の続く静岡学園は後半22分に動く。1トップのFW岩本悠輝(3年)を下げ、負傷明けで今大会はベンチスタートの続くFW加納大(2年)をピッチに送り込んだ。同24分には松村のアーリークロスに加納が右足ボレーで合わせるが、GKの正面。後半29分からはMF藤田悠介(3年)に代わってMF草柳祐介(3年)が入った。

 草柳は左サイドに入り、井堀が中盤のアンカー、小山と浅倉がインサイドハーフの4-1-4-1にシステムを変更。後半33分にはDF西谷大世(3年)に代えてDF岩野寛太(3年)が右サイドバックに入り、DF田邉秀斗(2年)が右から左サイドバックにポジションを移した。

 1点を取り切りたい静岡学園は猛攻を見せるが、矢板中央のディフェンスも体を張って跳ね返す。後半44分には細かいパス交換から松村がPA内右に抜け出し、マイナスのクロス。しかし、浅倉のトラップが流れ、こぼれ球に詰めた加納も押し込めなかった。後半アディショナルタイムには田邊のクロス性のシュートが右ポストを直撃。このままPK戦突入かと思われた後半アディショナルタイム4分、PA内で松村が倒され、PKを獲得した。

 キッカーは松村。落ち着いてゴール右に決め、直後にタイムアップのホイッスルが鳴った。鹿島内定の背番号10が土壇場で今大会初ゴールを奪い、劇的勝利。静岡学園が24年ぶりの決勝進出を果たし、初の単独優勝を懸けて決勝では前回王者の青森山田と対戦する。

(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2019

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