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「優太と目が合って」静岡学園FW小山尚紀、一瞬の判断で“PK獲得”アシスト

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静岡学園高MF小山尚紀(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.11 選手権準決勝 青森山田高 2-1 帝京長岡高 埼玉]

 一瞬のフィーリングを合わせたコンビプレーで強固な矢板中央高ディフェンスに綻びをつくった。後半終了間際、PKを獲得したMF松村優太(3年)とのワンツーを成功させた静岡学園高MF小山尚紀(3年)は「優太と目が合って、出したそうやなと思った。少し寄って行ったら優太がいい感じで抜け出してくれたので、落とすだけだった」と振り返った。

 4-4-2で徹底的に守りを固めてくる矢板中央に対し、後半の時計の針が45分を過ぎても得点を奪えなかった静岡学園。「(あれだけ引いてくるのは)結構珍しい。それにプラス相手の身体能力が優れていたので難しい試合だった」。キックオフ時は左ウイング、後半途中からはトップ下で打開を試みた小山は素直に振り返る。

「中(の人数)がめちゃめちゃ多かったので、外からのクロスは難しいなと思った。外を使うにしても、僕が行くというよりは僕が中に入って、左右のスペースをサイドバックが使うみたいな発想で、中で密集を作ってそこで崩して行けたらという感じだった」。その狙いで決定機も少なくはなかったが、「惜しい感じはあったけど、シュートミスでチャンスを逃してしまった」という結果となった。

 それでも後半アディショナルタイム3分、小山と松村の即興が試合に動きをもたらした。右サイドでボールを持った松村の意図を察した小山は「中に入る選択肢もあったけど、相手が高さもあって人も多かったのでボールサイドで崩して行こうと思った」という形でループ気味のパスをレシーブ。そのまま松村に落とすと、突破を仕掛けた松村がエリア内で倒された。

 静岡学園はPKを得た選手がキッカーを務める慣例。「優太が蹴るので外したらしゃあないかなと思っていた」(小山)。そんな信頼に支えられた背番号10は落ち着いてゴールキーパーの逆を取り、ゴール右隅にシュートを沈めた。「めちゃくちゃうれしかった。ようやく点が入ったな……って」。背番号14も歓喜の渦に飛び込んだ。

 この勝利により、全国制覇まであと一つ。対戦する青森山田高には「球際が厳しくて、フィジカルレベルも高い中、一人一人がしっかりした技術がある印象」と敬意を払いながらも、「ロングボールで押し込まれることがあると思うけど、奪ったボールを大事にして、ドリブルとショートパスで崩していければ」と普段のスタイルを崩すつもりはない。

 滋賀県のセゾンFCから「このサッカーに魅了された」と静岡学園を選んだ小山にとって、全国の決勝戦は積み上げてきたものを証明するための舞台にもなる。「準決勝でもすごくお客さんも入っていたし、決勝でも緊張しないと思う。見に来てくれたお客さんを楽しませられるように静学らしいサッカーをしたい」。今大会で猛威を振るってきた自慢のドリブル突破で、絶対王者の守備網も破壊するつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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