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後半9分に初めて許したシュート…好守で無失点V王手の静岡学園GK野知「準備できていた」

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チームメイトに指示を出す静岡学園GK野知滉平(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 GKにとっても難しい試合展開だった。2トップを含めたフィールド選手全員が自陣に引いてブロックをつくる矢板中央(栃木)に対し、静岡学園高(静岡)は立ち上がりからほぼハーフコートゲームで攻め立てたが、1点が遠い。前半のシュート数は静岡学園の9本に対し、矢板中央は0本。しかし、スコアは0-0だった。

 前半、ほとんど守備機会のなかった静岡学園GK野知滉平(2年)は「試合を通して静岡学園が攻めていて、静岡学園のペースだった。攻めているからこそ、チームとして一発のカウンターでやられることだけはないようにしようと話していた」と振り返る。

 静岡学園にとって、そして野知にとっても初めてのピンチは後半9分に訪れた。矢板中央はハイボールから最後はMF宮野流斗(3年)が左足でミドルシュート。矢板中央のこの試合初めてのシュートはゴール右隅を捉えていたが、野知が鋭い反応で弾き出した。

「正面じゃなくてギリギリに飛んできたけど、止めることができた。集中を切らさず、準備できていたからだと思う」。ここで失点していれば、相手の思惑にハマるところだった。窮地を防いだ2年生守護神は「止められたことはうれしい」としながらも、「チームとして緩かったというか、少し甘くなったところで一発やられてしまった。失点はしなかったけど、あのあとみんなで集まって、僕も強めに言って、もう一度締め直した」としっかり反省し、その後のプレーに生かした。

 0-0のまま試合は終盤に入り、PK戦も覚悟していたという。「最後のほうは(PK戦を)考えていて、PK戦になったら自分が止めてやるぞと考えていた」。しかし、チームは後半アディショナルタイムの決勝点で劇的勝利。MF松村優太(3年)がPKを決めた瞬間は「何と言っていいか分からないけど、とにかくうれしかった」と最後尾で喜びを爆発させた。

 これで1回戦から5試合連続の完封勝利。首都圏開催となった76年度大会以降では77年度の帝京(東京)、86年度の東海大一(静岡)、99年度の市立船橋(千葉)以来、史上4校目の無失点優勝に王手をかけた。

「無失点優勝は僕とDFラインの目標でもある。決勝まで無失点を続けてこれたのはうれしいし、決勝も無失点で優勝したい」。13日の決勝では、連覇を目指す青森山田(青森)と対戦する。野知は「青森山田はプレミアリーグでも優勝しているし、高校年代で一番強いチームだと思っている。チャレンジャー精神で、絶対に倒してやる気持ちで臨みたい」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)
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