beacon

シュート24本目で許した唯一の失点…矢板中央の1年生GK藤井、土壇場PKに「冷静さを欠いた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

矢板中央の1年生GK{{藤井陽登}(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 シュート23本を浴びながらも耐え続けていた。0-0のまま試合は後半アディショナルタイムに入り、PK戦突入かとだれもが思う中、静岡学園(静岡)がPKを獲得。静岡学園にとって24本目のシュートとなったMF松村優太(3年)のキックが決まり、矢板中央高(栃木)の敗退が決まった。

 GK藤井陽登(1年)は「PKになった瞬間、自分が止めるという思いはあった」と振り返る。しかし、「自分の感覚でできなかった。先に動いてしまって、冷静さを欠いたのかなと思う」と、右に動いたところを逆サイドへ流し込まれた。

 試合を通して攻め込まれる中、好セーブも光った1年生守護神だが、「試合が始まる前から緊張して、硬くなってしまい、自分のパフォーマンスをあまり発揮できなかった」と唇を噛む。「自分の強みであるキックも安定しなかったし、GKの一番の仕事はセービング。最後、PKで終わって、あっけないなというか、悔しい気持ちが真っ先に出た」とうなだれた。

 青森県十和田市出身の藤井は地元の十和田中から、木村大地GKコーチ(青森山田高出身)の誘いを受けて矢板中央に進学した。決勝で青森山田と対戦することは大会前から一つの大きなモチベーションとなっていたが、あと一歩のところでその目標は果たせなかった。

「青森山田は(決勝まで)勝ち進んで、自分たちは勝てなかった。そこに大きな差があると思うし、今から一からやり直して、来年はそのチャンスをつかめるようにしたい」。まだ1年生の藤井に対しては試合後に「GKの先輩2人から『来年、再来年もあるから下を向かず頑張れ』と声をかけられた」という。初の決勝進出、そして日本一という夢を託され、1年後さらにたくましくなって帰ってくるつもりだ。

(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2019

TOP