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引き継がれる矢板中央・伝統の堅守…2年生SB坂本龍汰「絶対にゼロで守る」

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矢板中央の右サイドバックを担うDF坂本龍汰(2年)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 伝統の堅守を引き継ぐ。矢板中央高(栃木)の右サイドバックを担うDF坂本龍汰は最終ライン唯一の2年生。ゴール前で何度も体を投げ出し、シュートブロックに徹したが、チームは終了間際のPK弾に沈んだ。「悔しすぎて泣けなかった」という無情な幕切れだった。

 今大会は栃木県予選から失点が続いたが、3回戦・鵬学園戦、準々決勝・四日市中央工戦にいずれも2-0で勝利。連続完封で堅守を取り戻すと、この日も分厚いブロックを構築して静岡学園の猛攻に耐え、90分をゼロで抑えた。しかし、後半アディショナルタイム4分にPKを決められると、直後に試合終了のホイッスル。「迷惑をかけてきた先輩たちを助けたかった」と敗戦に悔しさをにじませた。

 隣のポジションには主将でDFリーダーのCB長江皓亮。さらにCB矢野息吹、左SB加藤蒼大という頼もしい3年生とカバーし合い、堅守を築いてきた。「いつも声をかけてくれるので、自信を持ってプレーできた」。この日のシュート数は2対24。自陣に釘付けにされる防戦一方の展開だったが、守備陣は矢板中央の真骨頂を表現した。

 坂本は15年度大会のDF星キョーワァン(駒澤大/横浜FC内定)の代に憧れ、徳島県を離れて矢板中央に入学した。対角線にロングフィードを蹴り込めば、ロングスローの役割も担うが、センターバック出身とあってこだわりはもちろん守備にある。

「絶対にゼロで守るのは矢板中央の伝統なので、それを意識しながらプレーしています。隣でキャプテン長江を見てきたので、ああいうDFリーダーになりたい」

 2万9747人の大観衆が詰めかけた埼玉スタジアムの舞台にも臆することなく、「緊張よりもワクワクした」と気持ちの入ったプレー。持ち前のメンタルと今大会の経験値は、来年度のチームを率いる大きな武器になるはずだ。「反省を生かしてまた戻って来られるように頑張りたい」と気合十分。伝統の堅守を引き継ぐ覚悟をにじませ、一年後の雪辱を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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