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決勝の相手は絶対王者。静岡学園CB阿部主将「もう一段階、自分たちのレベルも上げていかないといけない」

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静岡学園高のCB阿部健人主将は、打倒・青森山田へもう1ランク上のレベルを求める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 静岡学園高のCB阿部健人主将(3年)は、前回王者・青森山田高(青森)との決勝戦(13日)へ向けて「自分たちの今のサッカーよりも、もう一個上に上げて次の決勝に臨みたいと思います。まだまだ全然足りないと思います」と引き締めた。

 静岡学園は今大会5試合で16得点無失点と堂々の勝ち上がりを見せてきた。ただし、現在プリンスリーグ東海に所属する静岡学園に対し、青森山田は高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTに所属するチーム。同リーグで常に上位争いを演じ、19年度は2度目の優勝、名古屋U-18とのファイナルも制して「高校年代真の日本一」に輝いている。川口修監督も「隙の無い、絶対王者」と認める強敵だ。

 青森山田はJクラブユース勢や高体連を代表する強豪相手にリーグ戦で勝ち続け、今大会を含めた最近5年間の選手権の成績も19勝2敗で2度の全国制覇。今大会でも強固な守備と攻守の切り替えの速さ、技術力の高さ、セットプレーの強さなどを発揮している。その相手に対し、川口監督は「我々の120%くらい出せないと勝てない」と強調。ただし、準決勝で強固な守備の矢板中央高と戦い、競り勝つことができたのは良いシミュレーションになったと感じていた。

「山田さんとやれる前にこういうブロックの強いチームとやれたことは、その経験が活きてくれればなと思っています」

 “元祖・技巧派軍団”静岡学園の攻撃力は全国でも有数。鹿島内定MF松村優太(3年)やMF 小山尚紀(3年)、MF浅倉廉(3年)、MF 井堀二昭(3年)を中心としたテクニカルな攻撃に加え、多彩なセットプレーも加えてゴールを連発してきた。矢板中央戦はシュート24本。相手の堅い守備ブロックの前に苦戦を強いられたが、試合終了間際に松村が自ら獲得したPKを決めてゴールをこじ開けた。

 また、静岡学園は今大会、今年度のチームの強みである攻撃から守備への切り替えの速さを活かして無失点を継続。矢板中央戦は被シュート2本で終えている。9月末のYASUカップ決勝で昌平高の切り替えの速さに苦しみ、「あの攻守の切り替えの速さになりたいと思ってやってきた」(阿部)と日常のハーフコートのミニゲームで意識してきた成果を選手権で発揮。ただし、阿部は攻撃も、この守備ももう1ランクレベルを上げないと青森山田を倒すことはできないと分析していた。

「プレミア(リーグ)のチームと切り替えの速さは違う。東海ではなかなか経験できないので。自分たちの基準を上に持っていかないと、山田は倒せないと思っている。決勝はもう一段階自分たちのレベルも上げていかないといけない」とわずかな期間で少しでも意識面から上げて、13日に開催される決勝に臨むことを誓った。

 今大会無失点を続けてきたが、例え決勝で失点しても動揺せずに、ゴールを目指し続けること。前回、青森山田と選手権で対戦した06年度大会3回戦では後半アディショナルタイムまで攻め続け、MF國吉貴博(元富山)のクロスから2年生FW大石治寿(相模原→藤枝)の劇的なヘディングシュートで勝利している。

「(青森山田に)何点か獲られるかもしれないけれど、1点でも多く獲れればという発想でいます」(川口監督)。24年前の初優勝時は鹿児島実高(鹿児島)との同点優勝。絶対王者に対して静学らしく、最後まで攻め続けて24年ぶり、そして初の単独優勝を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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