beacon

「魅了しながら勝てればベスト」。静岡学園の攻撃的CB中谷は決勝で内容、結果の両方を求める

このエントリーをはてなブックマークに追加

静岡学園高のCB中谷颯辰は守備面だけでなく、攻撃面でもチームに貢献する意気込み。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権準決勝 静岡学園高 1-0 矢板中央高 埼玉]

 24年ぶりの決勝進出を果たした静岡学園高のCB中谷颯辰(3年)は内容、結果の両方を求めて優勝することを誓った。「あまり良くない内容でも勝った気がしないというか、良い内容で勝ち切らないと自分たちも満足しない。(静学スタイルと言われているが、)面白いサッカーで色々な人を魅了しながら勝てればベスト。それをできる実力はあると思っているし、全員で力を出し切れれば優勝できると思います」。決勝で対戦する青森山田高は強敵だが、勝つだけでなく、魅せて勝つという意気込みだ。

 中谷はヘディングの強さなど守備面での奮闘も光るが、最大の特長はポゼッション能力の高さ。川口修監督も起用理由の一つにその点を挙げていた。中谷もその意図を理解し、ピッチで表現している。

「自分のところで1枚かわせれば攻撃がスムーズに行くと思うので、ビルドアップのところは意識しています。繋ぎの部分は『チャンスがあれば自分でどんどんドリブルで上っていい』と監督にも言われているので、隙あれば攻撃参加していきたい」。CBにも攻撃面を求められるのは静学の伝統。中谷はもちろん失点しないことを意識しながら、攻撃面でどんどん特長を出して行くつもりでいる。

 矢板中央高戦は、引いた相手を押し込み、中谷も敵陣でプレーし続けた。落ち着いてビルドアップを続けていた一方、やや前のめりになりすぎて、ロングボールの対応が乱れるシーンも。この日は失点に繋がらなかったが、青森山田相手では失点に直結する可能性が高い。それだけに、中谷は「(青森山田はヘディングで)後ろにこぼしちゃうと一発で決めてくるところがある」と警戒。相手は少ないシュート数でも決めてくる力があるだけに、90分間細部にこだわってプレーすることを心がける。

 今大会、静岡学園は5試合全て無失点。切り替えの速い守備とゴール前での堅さが光る。普段から鹿島内定MF松村優太(3年)やMF浅倉廉(3年)らハイレベルなスピードやテクニックを持つアタッカーたちとトレーニングしているだけに、今大会では対人守備で特別苦戦することはなかったようだが、油断することなくあと1試合。埼玉スタジアム2○○2での決勝について中谷は「憧れの舞台なので、緊張はそんなにしていないし、楽しみ」。そして、「決勝とかあまり意識せずに、『山田を倒す』ということを意識して山田と真っ向勝負できたらいいと思います」。まずは目の前の相手を倒すことに集中。その上で静学らしくCBも攻めて、楽しんで、勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

TOP