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「思った以上に自分を出せた」「めっちゃ成長できた」、静岡学園の中盤で躍動した浅倉廉

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優秀選手にも選出された静岡学園高MF浅倉廉(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]

 静岡学園高イレブンの中で最も小柄な168cmだが、MF浅倉廉(3年)は大きな存在感を放っていた。

 前半は青森山田に数的不利で囲まれる場面が何度も見られた。「最初はプレッシャーが思った以上に早くてミスもあったんですけど、そこはビビったらダメだなと思ってむずかしいことにチャレンジしてみました」。背番号8は高い位置をとって、ドリブル、パスで打開しようとしていたが、「自分が高い位置で受けよう、受けようとしすぎたのがあった」。指揮官からも距離感の悪さを指摘されていた。「もっとボランチに近づいて受けてあげて、ボールさわって自分がリズムをつくってと指示があったので、そこを改善できたのがよかったかなと思います」。

 90分を通して、静岡学園が使った交代枠はひとつのみ。 ハーフタイムにボランチのMF藤田悠介(3年)に代えてMF草柳祐介(3年)を投入した。草柳を左SHに入れて、 MF小山尚紀(3年)を中央にスライド。浅倉とMF井堀二昭(3年)がボランチにおさまった。「小山をトップ下に入れて、俺と井堀で組み立ててっていう意図がありました」。よりボールに絡んで静岡学園の攻撃を活性化させた。「しっかり後ろからつないで、つなぐことによって相手に隙が生まれて、そこから攻めるシーンが増えたと思う」。

 前半11分に今大会初失点を喫した静岡学園は、33分にも追加点を献上してしまう。「失点しても焦らず、蹴らずにやっていれば自分たちにもチャンスはくると思っていた。そういう意味では1試合通して自分たちのスタイルができていた」(浅倉)。パスをつなぐことで青森山田の体力を消耗させつつ、攻撃の糸口を探ると、前半アディショナルタイムに1点を返し、後半16分に同点、終了5分前には逆転弾を決めた。

 静岡学園と青森山田という組み合わせの決勝、前日のうちにチケットは完売した。来場者の5万6025人は選手権決勝戦観客数で過去最高記録を達成している。「上まで入っていると思わなくて、見た時は『最高だな』と思いました」。その大観衆の中での優勝は格別だった。

 決勝までの全試合で先発し、「思った以上に自分を出せた」という浅倉。「6試合だけだったんですけど、自分の中でめっちゃ成長できたなという感覚があります」と全国の舞台で得たものは大きかった。「ドリブルのところでチャレンジするという精神的な面だったり、中盤の選手なのでまわりを見ることの大事さも自分がミスをしてから学んだり。そういったところが成長できました」。卒業後は拓殖大学に活躍の場を移し、研鑽を積む。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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