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痛恨の逆転負けで連覇逸…青森山田MF武田英寿「サッカー人生で一番悔しい」

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青森山田の主将、武田英寿は涙の準V(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]

「これまでのサッカー人生で一番悔しい負け」。2-0からひっくり返されて優勝を逃したファイナルに、青森山田高(青森)のMF武田英寿(3年)は涙を流した。

 MF古宿理久(3年)のFKからDF藤原優大(2年)が頭で合わせ、最初のシュートで幸先よく先制。さらに、カウンターからFW田中翔太(3年)のスルーパスに抜け出した武田が、GK野知滉平(2年)に倒される。このPKを背番号10が自ら沈めて、リードは2点に広がった。青森山田が2-0でリード。今大会の全4試合と同じ展開だった。

 しかし、静岡学園戦は自分たちで敗因を招いてしまったと青森山田の主将は見ている。「2点入ってから、自分たちで守りに入ってしまって、前で守備をすることができずっていうのがあった。2点入って少し気がゆるんでしまった」。準々決勝・昌平戦は3点目を奪って3-2、準決勝・帝京長岡戦は1点差を守り切り2-1。ところが、決勝では今大会で初めて2-2に追いつかれた。「いつもと変わることなくやろうという話はした」。武田はピッチで確認し合ったが、流れを引き戻すことはできず敗戦を迎えた。

 2位に勝ち点9差をつけて優勝したプレミアリーグEASTでも、大宮アルディージャU18に2-0から2-2に追いつかれ、ジュビロ磐田U-18には2点リードをひっくり返されて2-3で敗れたことがあった。「『2-0からだぞ』っていうコーチングは全体で出してやっていたんですけど……」。警戒していたプレミアリーグチャンピオンシップ王者をもってしても、静岡学園の攻勢を止めることができなかった。

 2年次からレギュラーを務めていた武田にとっては、出場10戦目にして初めての選手権黒星となった。選手権で9勝1敗という驚異的な勝率を誇るが、その1敗はあまりに重かった。「自分たちがやらなきゃいけないことをやらなくなってしまった。自分たち次第で結果は変わったんじゃないか」。時に声を震わせて、主将は懸命に質問に答えた。

 宮城県仙台市出身の武田は、ベガルタ仙台ジュニアから青森山田中学へ。支えてくれた両親への感謝も語った。「青森山田に行きたいって言ったわがままを、快く受け入れて送り出してくれた。常に自分のコンディションだったりチームの状況を連絡して確認してくれて。苦しいときも支えてもらって、感謝しています」。

 卒業後は浦和レッズで37番を背負ってプレーする武田は、「ずっと勝ち続けられるように努力していきたいと思います」と、この敗戦を成長の糧にすることを誓っていた。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

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