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表彰式を「もう下から見るのは嫌」。新生・青森山田の初戦は、聖和学園に逆転勝ち

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後半31分、青森山田高MF小原由敬(8番)が決勝ゴール

[1.25 東北高校新人選手権1回戦 聖和学園高 1-2 青森山田高 いわきFCフィールド]

 令和初年度東北高校新人サッカー大会が25日に開幕し、いわきFCフィールド(福島)で行われた1回戦では、選手権準優勝の青森山田高(青森)と聖和学園高(宮城)が対戦。後半の2ゴールによって2-1で青森山田が逆転勝ちした。

 選手権準優勝から、わずか2週間。全国3冠を目指す青森山田の2020年シーズンがスタートした。3連覇がかかる今大会は、DF藤原優大(2年)がU-18日本代表スペイン遠征、MF松木玖生(1年)が日本高校選抜候補の合宿にそれぞれ参加したため、メンバー外に。DF内田陽介(2年)、MF安斎颯馬(2年)ら選手権を経験した選手も怪我で欠場となり、主力候補の半数以上を欠く、スタメンとなった。

 新チームが立ち上がった直後という難しさもあり、序盤は「初戦なので、みんな緊張したり、どうやって試合に入ろうか悩んでいた」(FW古澤ナベル慈宇、2年)。古澤の力強いボールキープを起点に、右のDFタビナス・ポール・ビスマルク(2年)と左のMF藤森颯太(1年)がチャンスを伺ったが、「落ち着いて対応すれば、逆を獲られないと分かっていた。バックラインが(飛び出しを)落ち着いて対応しながら、サイドは縦に行ってクロスと分かっていたのでサイドバックとコミュニケーションをとってはめに行こうと思っていた」とDF高木翔理主将(2年)が振り返る聖和学園の守備に苦しみ、シュートまで持ち込めなかった。

 一方の聖和学園は、時間の経過と共にMF田代健伸(2年)らアタッカー陣が持ち前のテクニックを活かし、ドリブルとコンビネーションで青森山田の守備陣を翻弄する場面が増加。30分には、MF狩野遥人(2年)との連携でゴール前を抜け出したMF田村聖斗(2年)がゴール右隅にシュートを決めて、試合を動かした。直後の33分には、青森山田にPKを与えたが、キックがクロスバーに直撃し、失点を回避。聖和学園が1点リードで試合を折り返した。

 後半は、高木が「縦に攻め急いだ印象がある。落ち着かすべきシーンが多かった」という聖和学園に対し、青森山田は古澤がシンプルなポストプレーを徹底し、よりゴールに向かう意識を高めた。

 すると、後半12分にはPA右外で青森山田がFKを獲得。MF本田真斗(1年)がゴール前に入れたボールのこぼれ球をMF宇野禅斗(1年)が決めて、試合を振り出しに戻した。

 28分に低い位置から入れたタビナスのクロスから古澤がヘディングシュートを放つなど果敢に2点目を狙い行くと、31分にはDF秋元琉星(2年)の縦パスを受けた古澤が素早く、PA左にパスを展開する。走りこんだのは、「チームが苦しい時に決められる決定力とゴール前に入っていく動きを意識した」と話すMF小原由敬(1年)。冷静にゴール右隅に流し込んだシュートが決まり、2-1で青森山田が勝利した。

 今大会、黒田剛監督に代わり、チームの指揮を執る正木昌宣コーチは「チームとしての完成度は1枚も2枚も相手の方が上だった。ほぼ相手のコートでサッカーが出来ていたし、中盤の守備に関しては思っていた以上に激しく出来ていたけど、奪われ方が悪かった。カウンターを受けないようにと話していながら、カウンターを受ける場面が多かった」と試合内容を評価した。

 昨年はプレミアリーグで頂点に立ったが、インターハイは3回戦で敗退。選手権も準優勝に終わったため、悔しさが強く残る一年となった。古澤は「チームとして掲げる3冠という目標を達成するために、この大会に挑んでいる。昨年のチームは強かったけど、超えられる努力をしていきたい。昨年は最後の最後で失点するシーンが多かったので、粘り強さや球際など山田で掲げることを最後まで貫きながら、プラスアルファとして自分たちの色を出していきたい」と口にする。

 正木コーチも「一年を通してコンスタントに結果を出していくことが、選手の先に繋がってくる。僕らはまだ何も言っていないけど、選手たちは3冠と言いながら、また日本一を目指している。もう下から(表彰式を)見るのは嫌ですからね」と続ける。選手権で再び頂点に立つため、今大会は課題と手応え、そしてタイトルを掴むつもりだ。

(取材・文 森田将義)

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