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狙い通りの崩しからゴール連発!日本高校選抜候補が専修大に6発勝利!

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4本目14分、日本高校選抜候補MF須藤直輝(昌平高2年)が右足で決勝ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.25 練習試合 日本高校選抜候補 6-4 専修大 時之栖裾野G]

 日本高校選抜候補が狙い通りの崩しから計6発! 第98回全国高校サッカー選手権の優秀選手を中心に構成された日本高校選抜候補が、24日から静岡県内で選考合宿を行っている。25日には関東大学1部リーグの専修大と練習試合(30分×4本)を行い、6-4で撃ち勝った。

 指揮を執る蒲原晶昭監督(佐賀東高)が「ハードワーク、切り替え、コミュニケーション、テクニックという4つのところを柱としている。その4つの柱をベースに、テクニックの上手い選手が多く入っている」と説明する今年の日本高校選抜。合宿2日目でこれが初の対外試合だったが、高校選抜候補は正確なパスアンドコントロールから、共通理解していた背後の取り方を実践し、鮮やかな崩しで次々とゴールネットを揺らした。

 選手権優勝校・静岡学園高のMF浅倉廉(3年)や同準優勝の青森山田高GK佐藤史騎(3年)らが出場した1本目は、トップ下の浅倉のところにボールが入ると、その技巧で目立つ存在だった浅倉の個人技やMF後藤健太(青森山田高3年) 、MF佐藤陽太(京都橘高3年)、FW田海寧生(丸岡高3年)らが絡む形からゴールに迫る。

 16分、Aチームで臨んだ専修大に先制点を許したものの、直後に浅倉のスルーパスからタイミング良く相手の背後へ抜け出した後藤が右足で同点ゴールを流し込む。さらに浅倉の仕掛けから佐藤陽が決定的な右足ボレーを放つなど攻める高校選抜候補は24分、佐藤陽のスルーパスで抜け出した後藤がGKをかわして勝ち越しゴール。前日のミーティング、この日午前のトレーニングで確認していたという背後の取り方が早速実を結び、逆転して1本目を終えた。

 メンバー全て入れ替わった2本目は、選手権得点王のFW岩本悠輝(静岡学園高3年)や選手権で活躍したスーパールーキーMF松木玖生(青森山田高1年)、2年連続で高校選抜候補合宿に臨むMF須藤直輝(昌平高2年)らが出場。落ち着いたパス、コントロールと守備も光っていたMF柴圭汰(昌平高2年)のスルーパスに岩本が走り込んだり、須藤がドリブルシュートを狙うシーンもあったが、PAで相手を抑えきれなかったり、背後を取られるなど2点を失ってしまう。

 それでも、1本目のメンバーから2人をMF濱屋悠哉(神村学園高3年) とGK松原颯汰(流通経済大柏高2年)に入れ替えた3本目の8分、浅倉のスルーパスから田海が左足でゴールを破り、3-3。さらに15分には中盤中央を抜け出した後藤のラストパスから濱屋が決めて再び勝ち越しに成功する。

 藤田が上手く潰れ役になって味方が抜け出したほか、左SB大竹琉生(昌平高3年)の正確なキックや右SBで起用された佐藤陽が好守を見せるシーンも。一方で簡単にサイドから崩されて失点してしまったが、2本目と同じ選手たちを中心に戦った4本目に高校選抜候補は三度勝ち越して見せる。

 14分にタイミング良く相手の背後へ抜け出した須藤がGKとの1対1を制して5-4。さらに、21分にもセットプレーからFW田中翔太(青森山田高3年)が決めて突き放す。最終ラインから良く声が出て、指揮官も「戦える選手がきょうも多かった」と認める戦いぶり。同点から最後に大学生を振り切る強さも示した高校選抜候補が6-4で勝利した。

 今回は選考合宿のため、大枠の戦い方や狙いだけを共通理解し、あとは攻守ともに個人戦術のところに委ねられている。その中でできることを示した選手が多かった印象だ。特に攻撃面では前方の視野を確保しながら、それぞれが持つパス、ドリブルの技術を発揮していた。蒲原監督も「判断の共通理解がある中で、何をするかは自分の発想でやるというベースのところをミーティングで話しました。(今後へ向けた)材料がきょうは良いも悪いも出たのでかなりな収穫だと思います」と評価。そして、「このキャンプは個のところでしっかりと見ていきたい。あと2日間、しっかり4つのテーマの下、自分の特長をどれだけ出せるか」と期待した。

 今回の静岡合宿に参加している日本高校選抜候補選手は大学進学組や新2、3年生の計26名。Jクラブへ加入した選手や、U-18日本代表のスペイン遠征組は招集されていない。現時点で約40名いるという候補選手から、4月の欧州遠征でデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場するのは18名。今回招集されている選手たちは、今回不参加の実績ある選手たちを上回っていかなければならない。そのエネルギーが空回りしたり、不用意なミスがあったことも確かだが、指揮官も認める雰囲気の良さと戦う姿勢、テクニックがこの日は内容と結果に繋がった。

 蒲原監督は合宿初日、「『せっかくの機会だから、この4日間は。選ばれるというところも大事だけど、成長して帰って欲しい』というのは伝えました」という。全国約4000校の選手たちから選抜された彼らは、将来の可能性を広げるという自身への期待感と、全国の高校サッカー部代表の責任感を持って日本高校選抜入りと欧州での活躍、そして成長を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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