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[新人戦]学法石川が苦しみながらも初の東北決勝へ。青森山田と対戦に「自分たちの力がどれだけ通用するのか確かめたい」

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学法石川高はDF大津平嗣を中心に2試合連続で完封勝利

[1.26 東北高校新人選手権準決勝 学法石川高 1-0 明桜高 新舞子フットボール場]

 令和初年度東北高校新人サッカー大会は26日に準決勝を行い、学法石川高(福島1)と明桜高(秋田)が対戦。後半31分にFW渡辺航大(2年)が奪ったゴールによって、学法石川が1-0で勝利した。

 全国大会未出場ながらも、昨年度はプリンスリーグ東北を舞台に戦うなど実力は十分。今年は初の選手権出場を狙う学法石川が3度目の東北新人選手権出場で、初の決勝進出を果たした。

 チームの歴史を作る大きな一勝となったが、試合展開は決して楽ではなかった。「試合の入り方はチームとしての課題。経験値が少ない選手が多いので、緊張していたと思う」(DF大津平嗣、2年)。学法石川は序盤、前線からのプレスを徹底した明桜に苦戦。9分には、相手のロングフィードの処理をミスしたDFがMF田中将太(1年)にボールを奪われた。

 慌てて飛び出したGKもかわされ、無人のゴールを狙われたが、シュートはポストに直撃し、失点は免れた。明桜の原美彦監督が「昨年から積み上げてきた攻守でボールを握っていくサッカーは出せた」と振り返った通り、以降も試合は相手のペース。明桜はMF堀井真生(2年)を中心としたパスワークから、判断良く学法石川の守備を崩したが、「前半通してチャンスはあったけど、シュートやパスなど最後の質が低くてチャンスを逃してしまった」(堀井)ため、両者無得点のまま前半を終えた。

 後半は運動量が落ちた明桜に対し、学法石川は「監督からもっと前に出て良いと言われたので、攻撃を意識した」と振り返るMF森隼真(1年)が持ち前の運動量を活かした前方への飛び出しを増やし、攻撃に厚みを加えた。加えて、大津が「アイツで勝負できる」と評する俊足の渡辺を右のウイングバックに投入。渡辺が縦突破を繰り返すことで、警戒が薄まった左MF佐々木楽人(1年)や、FW佐藤武流(1年)が躍動する場面が増えた。

 後半21分には連携から中央を抜け出した森がGKとの1対1を迎えたが、シュートはGK佐藤潤一(2年)が足でブロック。29分にはDF立澤希望(2年)の縦パスから、PA内を抜け出したFW倉島聡太(2年)が放った一撃も枠を捉えることができない。天を仰ぐ場面が続いたが31分、中央をドリブルで仕掛けた佐藤が右に展開すると、渡辺が反応。鋭い突破でマークをかわし、打ったシュートがゴール左隅に決まると、そのまま1-0でタイムアップを迎えた。

 学法石川は前日に行った1回戦の羽黒高(山形)も前半は苦戦しながら、試合終盤の得点によって、1-0で勝利。稲田正信監督は「昨日も今日も上手く行かなくても無失点で終えられたのは収穫。後ろが集中力を切らさず粘り強くゼロで抑えられたのが良かった。この大会は全国に繋がる大会ではないけど、緊張や負荷がかかった状態で戦える試合を経験できるのは大きい」と口にした。

 27日の決勝では、選手権準優勝の青森山田高(青森)と対戦する。全国屈指の強豪と真剣勝負ができるのは選手にとって大きな刺激だ。大津は、「青森山田と対戦するのを大会の目標にしていた。100%の力を出し切って、自分たちの力がどれだけ通用するのか確かめたい。この大会は結果にも拘っているけどインターハイ、選手権に向けてどれだけ積み重ねができるかの方が大事とチームで話している。個人としても山田の選手から盗める物があると思うので、盗んで行きたい」と意気込む。

 稲田監督が「新人戦なので決勝進出で満足して欲しくない。メインは選手権。良い内容で決勝まで勝ち進むと勘違いするので、今日みたいに上手く行かない中で勝てるのが一番良い」と話す通り、成長するための課題を洗い出すのが一番の狙いだが、福島県の第1代表として大会に挑んでいる。地元開催であるため、背負う期待も大きい。決勝はより苦しい戦いとなるのは間違いないが、この2試合同様に結果と成長材料の二兎を狙いに行く。

(取材・文 森田将義)

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