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昨年は岩手全冠獲得し、夏冬全国で勝利。新たな目標掲げる専修大北上が明桜をPK戦で下して東北新人3位に

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GK根子剛瑠(右)がPK戦で相手5人目をストップ。専修大北上高が東北新人選手権3位に

[1.27 東北高校新人選手権3位決定戦 専修大北上高 1-1(PK5-4)明桜高 いわきFCフィールド]
 
 専修大北上が東北3位に。第19回東北高校新人サッカー選手権大会3位決定戦が27日に行われ、専修大北上高(岩手1)が1-1で突入したPK戦の末、5-4で明桜高(秋田)に勝利。東北3位で大会を終えた。

 岩手、秋田の勢力図を変えつつある両校による3位決定戦。互いに後方から丁寧に攻撃を組み立て、長短のパスや、個の力を交えた崩しで相手ゴールを目指した。専大北上は注目の俊足エースFW阿部耀仁(2年)や競り合いで強さを見せていたFW吉武皇雅(1年)、明桜は幅広い動きを見せるMF田中将太(1年)やキレのある動きを見せるFW佐藤剛司(2年)が相手ゴールを脅かすようなシーンを作り出す。

 その中で先制したのは明桜だった。前半22分、左サイドでボールを動かすと、MF田村仁志(1年)が右足ミドル。相手の意表を突く一撃がファーサイドのポストを叩いてゴールネットを揺らした。チームメートも興奮の先制弾。やや守勢になりかけていた明桜が1点をリードした。

 だが、専大北上はセットプレーから同点に追いつく。28分、CB岩渕蓮也主将(2年)の右FKをファーサイドの阿部が同点ヘッド。阿部は登録身長170cmだが、得意としているヘディングシュートで1-1とした。

 専大北上は先発起用されたMF八重樫祐介(1年)が左足の展開力を見せたほか、「守備もよく頑張っていた」(小原昭弘監督)というプレー。チームとしては全体的に気持ちが前のめりになりすぎた部分があったか、バタバタした試合になってしまったことを指揮官も指摘していた。それでも、主軸MF鎌田悠生(1年)らに代わってチャンスを得た選手が奮闘。また、阿部が攻撃力を発揮していたほか、選手権を経験したMF藤原晴磨(2年)が細かな巧さを見せるなど、次の1点を狙いに行く。

 明桜はいずれもキック精度の高いCB渡辺月斗(2年)と左利きのCB長江慶次郎(1年)の両DFが起点となってボールを動かし、注目MF田村が絶妙なパスを配球。同じく注目の1年生MF内藤蒼空がケガのために不在だったが、後半終了間際にはオープンスペースを活用する形で立て続けにビッグチャンスを作り出す。だが、シュート精度を欠いて決め切ることができない。

 明桜は延長戦でもチャンスの数を増加。延長前半終了間際には左クロスのこぼれから田村が左足を振り抜く。だが、専大北上GK根子剛瑠(2年)が反応し、手に当てたボールはクロスバーをヒット。専大北上も阿部が3人のDFを振り切ってPAへ切り込むなどチャンスを作ったが、得点に結びつけることはできず、試合はPK戦に突入した。

 PK戦は互いに4人目まで成功し、先攻・専大北上は5人目の岩渕も決める。直後に専大北上GK根子が明桜5人目のシュートを右への跳躍から右手でゴール外側へはじき出し、決着をつけた。

 専大北上は昨年、インターハイ予選と選手権予選でいずれも初優勝。遠野高と盛岡商高の両名門校が中心となって覇権を争ってきた岩手県の高校サッカー界に風穴を開けた。専大北上は県1部、県2部、県3部リーグも制し、全国大会ではいずれも1勝。加えて、夏は京都橘高、冬も國學院久我山高という全国トップクラスの強豪校相手にPK戦まで持ち込むなど、自力があることを印象づけた。

 小原監督は「(その戦う姿を下級生たちが)見て来ている経験は大きいと思う」と口にする。新チームも県新人戦を初めて制して東北3位。昨年に比べると、新チームはまだまだ力が無いという評価だが、彼らは日本一という大目標を掲げてスタートしている。

 阿部は「負けた次の日にコーチ陣から『次は日本一で行くぞ。手が届かない場所ではない。そこを目指して頑張ろう』と。チームでは去年は全国ベスト8が目標だったんですけれども、今年は日本一を目指している」と力を込める。

 今大会は準決勝でプレミアリーグ優勝の青森山田高と対戦し、0-1。相手のプレッシャーの速さに苦しんだが、前からの守備で食い下がった。この試合はチームにとって今後の指針となりそうだ。阿部は「日本一を経験しているチームとできたのは結構大きいし、球際とかガタイとか差がはっきりした。そこに追いつけないといけない」。青森山田から学んだことを活かし、日本一に手の届くチームを作る。

(取材・文 吉田太郎)

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