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Jリーグチェアマンは村井満氏の4期目が内定、選挙ではなく“スポーツ団体初”組織専門家が選考

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次期Jリーグチェアマンに内定した村井満氏(左)、中央は弁護士の野宮拓氏、右は中島正樹氏

 Jリーグは30日に開催した理事会において、役員候補者選考委員会からの答申に基づき、現職の村井満氏を次期Jリーグチェアマン候補者として、3月12日に開催する定時社員総会の理事選任議案に含めることを承認した。これにより、村井氏のチェアマン再任が内定した。

 次期チェアマン選定にあたっては、19年3月に役員候補者選考委員会が発足。Jリーグの執行部からが完全に独立、Jリーグの役職員が選考プロセスに一切かかわらない形で進められた。

 弁護士の野宮拓氏を委員長に据え、さらに専門家である組織コンサルティングファームのコーン・フェリー・ジャパン、コーポレートガバナンス・アドバイザリー部門リーダーの中島正樹氏を外部アドバイザーに迎えて、透明性を確保した。このような形で組織のトップが決められるのは、日本のプロスポーツ団体ではおそらく初になるという。

 選定はコンピテンシー、経験、性格特性、動機というフレームワークを用いて、客観的なアセスメントを実施。具体的には適性テストや面談などを複数回重ねた。そのうえで、村井氏がチェアマンとしての適性が高いと判断。野宮委員長によると、ほぼすべての項目を基準を充足しており、「他の候補者と差があった」という。

 また同委員長は先日行われた日本サッカー協会(JFA)の会長選のような選挙で決めるのではなく、相応しい人材を選考委員会が探すという手法が取られたことについても、「選挙も一つのやり方だけど、サッカー協会と違って、Jリーグはプロの興行、ビジネスを回していかないといけない。どういう人材が相応しいかを定義した上で探していく手法が、選挙よりマッチしていると思う」と説明した。

 14年にチェアマンに就任した村井氏は、4期目に突入することになる。就任当初にあった財政面が健全化されてきたこともあり、「フットボールに関わるところにやっと全力で向き合えるところにきた」と意気込みを語る。

 一方で村井氏の再任は、“後任候補不在”という課題を浮き彫りにした。村井氏も「自分を超える人間が表れることを望んでいたのが正直なところ」と複雑な思いがあったことを明かす。そのうえで、「次の2年が最終年度。すべての皆さんに恩返しするつもりで頑張りたい。(後継者についても)しっかり育てる責任が私にはあるのかなと思っています」と考えを示した。

(取材・文 児玉幸洋)

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