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ゲキサカ選出インカレMVPは3冠明治大の司令塔、「自分でも意識ある」“タイトル請負人”中村健人

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 ゲキサカ読者が選ぶ第68回大学選手権(インカレ)のMVP「GEKISAKA AWARD 2019 WINTER 大学生部門」を明治大のMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島入団)が受賞した。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、中村にはゲキサカオリジナルトロフィーとキリンビバレッジ商品が授与された。

 昨季、大学タイトルを総なめにした歴史的なシーズンを送った明大の司令塔として活躍。初戦から準決勝まですべてでアシストを記録するなど、大学集大成の大会で大暴れした。

 高校時代は名門・東福岡高の主将として夏冬2冠を達成。卒業後はJ3の鹿児島ユナイテッドFCでプロキャリアをスタートさせる“タイトル請負人”に話を聞いた。


■最強明治の司令塔としてインカレ制覇に導く
―ほとんどの大学が“打倒明治”を掲げる中でのインカレになりました。
「簡単な試合が一個もありませんでした。リーグ戦、総理大臣杯を取ってのインカレ挑戦でしたが、周りが思っている以上に厳しい戦いを強いられた印象があります」

―インカレ初戦の前日には主将の佐藤亮が怪我をするアクシデントに見舞われました。
「チームとしては痛いアクシデントだったけど、逆に周りの選手が佐藤亮をピッチに立たせようという思いで頑張れたと思います。佐藤亮も自分の出来ることを全うしてくれた。そこはお互いの信頼関係が深まったんじゃないかなと思います」

―そんな中で中村選手は初戦から3試合連続でアシストを記録して決勝まで導きました。
「割とリラックスして試合に臨めていたと思います。準決勝の関西学院大戦では途中から佐藤亮が復帰して、決勝前の試合で想定していたメンバーで戦えたことも大きかった。初の3失点で反省も多い試合でしたが、決勝にいいイメージを持ち込めたと思います」

―決勝は延長戦にまでもつれる試合になった。
「桐蔭横浜大さんは本当に強かったけど、自分的には楽しかった印象が強いです。4年生の集大成の試合が、自分でもレベルが高いなという試合になった。正直、延長戦になったら自分たちの練習量、取り組んできた姿勢は一番だと分かっていたので、慌てることはなかった。失点してもどこかで追いつくだろうと、心の中にありました」

―明治大の選手たちは練習の強度に自信を持っている。
「部員が60人と少ない中で、みんなで寮生活をして、朝6時から練習をして、その時間から強度の高い練習をしてきているという意識が自分たちを強くしている。それが試合でも自然と出てくる。入学した最初のころ、2、3週間は筋肉痛になるくらい高校とは強度が違った。一年生のころはついて行くので必死でした。でもこれら全部の経験がインカレ優勝まで繋がったんじゃないかなと思います」

(写真協力『高校サッカー年鑑』)


■東福岡10番、2冠主将中村健人
―高校時代はインターハイ、選手権の2冠。選手権では“トリックFK”を決めたことで注目度の高い中での明治大進学となった。
「高校の時はパサーだったけど、大学に来て強度の高い守備などいろいろな個人の成長がみられたんじゃないかなと思っています。中村健人という名前があってこそ人に見てもらえることがあるので、自分の中ではプラスに感じていました。プレーヤーとして褒めてもらうためにやっていたわけではないけど、そう言ってくれるまで自分で考えて練習したり試合に取り組んだりする貴重な時間だったと思います」

―育成年代の黄金ルートを歩んできた中村選手。毎年Jリーガーを輩出する東福岡の強さ、明治の強さをどこに感じるか?
「東福岡はサイド攻撃を徹底していて、そのスタイルがあることが強さだと思っています。その中で今年の明治同様に自主性がある選手が多かったなと思います。明治は監督の指導もあると思うけど、みんなサッカーだけでなく私生活も考えて行動している。そういう選手たちが60人揃って生活することで、よりレベルの高い選手になれるんだと思っています」

―今年の明治は学年間の意見交換が活発になるなど、いろいろな改革があったと聞きました。
「上下関係については、サッカーの時は関係ないけど、私生活の部分では多少の厳しさが必要だという考えは分かります。親しき中にも礼儀ありといいますけど、どれだけ仲が良くても守るべきラインはあると思う。自分はもともと気にするようなタイプではないですが、60人全員をまとめるという意味では規律があったほうがいいんじゃないかなと思います。そういう意味では昨年はいい距離感を保ちながら生活出来ていたんじゃないかなと思います」

―改めて大学サッカーを経験して良かったこと。
「自分のとって苦しい思いもした4年間でしたが、大学4年の最後で就職するか、プロに行くかという選手の葛藤をより身近に見ることができた。そういう風にならなかった選手の気持ちは自分なりに分かろうとしている。プロに行った選手が苦労している現実もある。ずっと身近でみれたことが大学に来て良かったことなんじゃないかなと思います」



■これからはプロ選手中村健人に
―いよいよ学生生活が終わり、プロサッカー選手としての生活が始まります。
「仕事としてサッカーをするとになるので、無駄な時間を作りたくない。直近のことで言うと、開幕戦から試合に出られるような取り組み、姿勢を練習から見せていきたい。背番号の7番もチームの期待を感じるので頑張りたいです」

―J3からのスタートになった。
「それはそんなに気にしていません。自分が(J2に)上げたいという気持ちもありますし、プロのサッカー選手として生活をスタートさせることにワクワクしています。J3でもJ2でも自分がしっかりしていれば活躍できる。意識は下げずに、むしろ上がり続けるように取り組んでいきたいと思います」

―一年目の目標はありますか?
「大まかな目標は立てますが、あまり遠すぎる目標は立てないようにしています。直近の一か月後、3か月後とか、タイトルを取るという目標じゃなくて、よりいいチームにする、自分のこういうところを伸ばすというところにフォーカスするようにしています。でも得点などプロの舞台では結果が求められると思う。そこは意識していけたらいいなと思います」

―ただ中村選手と言えば、“タイトル請負人”“持っている男”ですよね。
「自分でもそういう意識はあります。プロに行ってもタイトルが取れるように意識して取り組みたい。でもタイトルだけを意識するんじゃなくて、チームメイトとの交流でいろんなことを吸収していきたい。そして人の心を動かせるような選手になりたいと思います」


(構成 児玉幸洋)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

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