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[東京都CY U-17選手権]中学生MF岩崎2発!FC東京U-18相手に執念の守りも見せた東京Vユースがグループ1位死守!

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後半15分、東京ヴェルディユースは中学生MF岩崎壮真(中央)が勝ち越しゴール

[2.2 東京都CY U-17選手権決勝L FC東京U-18 2-2 東京Vユース 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 東京Vユースが決勝進出! 2019年度第21回東京都クラブユースサッカーU-17選手権大会は2日に決勝リーグ最終節を行い、FC東京U-18東京ヴェルディユースが激突。2-2で引き分けた。その結果、東京Vが得失点差でグループB1位に。2月11日の決勝でグループA1位の三菱養和SCユースと対戦する。

 最後まで目の離せない展開となったユース版「東京ダービー」。東京Vは初先発の中学生MF岩崎壮真(中3)の2得点で逆転すると、ミスから同点に追いつかれながらも次の1点を許さない。試合終盤はFC東京に決定機を立て続けに作られたものの、最後までピッチ、ベンチの全員が現状の100%で戦って、グループ1位を死守した。

 岩崎は「怪我している先輩とかが凄い盛り上げてチームで戦っていると思っていたし、後ろの選手たちが体を張って最後まで止めていたところも見て、自分の得点以上にこの決勝進出はそれが大きかったと思います」。ジュニアユースとはまた異なるユースの先輩たちの熱や意地を感じ取っていた。

 FC東京はCB大森理生(2年)、東京VはCB佐古真礼(2年)がいずれもU-18日本代表スペイン遠征のために不在。加えて、ともにケガで主力候補を欠く中で行われた試合の前半は、FC東京のペースとなった。伝統的にテクニカルな東京V、また今年からより繋ぐサッカーへとシフトチェンジしているFC東京は、互いに後方から丁寧にビルドアップ。相手のプレッシャーから逃げずにボールを繋ぐことにチャレンジし、特に中盤での攻防が激しくなっていた。

 その中で、切り替え、強度の部分で一際目立つプレーをしていたのが、FC東京MF常盤亨太(2年)。彼の奪い返しなどからチャンスを作り出したFC東京だが、28分に抜け出してGKもかわしたMF角昂志郎(2年)のシュートを東京Vの右SB粟津一輝(2年)がスーパークリアするなどなかなかスコアは動かない。

 それでも、FC東京は30分、中盤中央でボールを奪った常盤がループパス。これをPAで胸コントロールした角が左足でゴールをこじ開ける。グループ1位になるためには勝つしかないFC東京が内容でも東京Vを上回り、1-0で前半を折り返した。

 前半、東京Vは相手のプレッシャーに圧力を感じて引いてしまう部分もあった。中後雅喜監督はピッチの選手たちの立ち位置を変え、メンタル的にも前向きになることを求めたという。後半は展開が一変。立ち上がりに東京VのMF三村愛斗(2年)と岩崎が連続で決定的なシュート。これはFC東京のGK彼島優(1年)に阻まれたものの、東京Vが主導権を握って試合を進める。

 そして10分、東京Vは自陣から大きな展開を交えて攻めると、MF安藤如登(2年)が右足ミドル。クロスバーを叩いた跳ね返りを岩崎が左足で決めて同点に追いついた。FC東京も右のMF佐藤恵介(2年)のところからチャンスを作り出していたが、次の1点も東京Vが奪う。

 15分、左クロスに岩崎が競ると、その後方にいた粟津がコントロールから持ち込んで右足シュート。このこぼれ球を再び岩崎がゴールに沈めて勝ち越した。東京Vは同点ゴール時同様に、ベンチとピッチの選手たちが大興奮。ライバルからの2得点を全員で喜んでいた。

 東京Vはこの後も左足の精度と推進力を見せていた左SB廣野零二(2年)の左足クロスなどでチャンスを作る。だが、36分、自陣ゴール前でのミスパスを奪われ、FC東京MF川口祐馬(2年)に同点ゴールを許してしまう。2-2。次の1点を許すと順位でも逆転される状況に陥ってしまった。

 勢いづいたFC東京は45分、川口のパスで抜け出したFW熊田直紀(中3)が左足でゴールを狙い、直後にも右クロスから角が右足シュート。この後にも角がチャンスを迎えたが、東京Vは「自分たち3年生が盛り上げて、良い雰囲気に持って行って、プリンスリーグやクラブユースを獲って歴史に名を残したい。(主軸候補不在の中)チームとしては人数少ない中で団結してできたと思います」と語る190cmGKカウンゼン・マラ(2年)のファインセーブや、DF陣の体を張った守備などで凌いで試合終了。アウェーでグループ首位を決めた。

 東京Vは現3年生からMF山本理仁、DF馬場晴也、MF松橋優安、MF石浦大雅、MF藤田譲瑠チマがトップチームへ昇格し、1年生のMF阿野真拓もいち早くトップ昇格を決めた。中後監督は現1、2年生たちへ向けて「先輩たちから刺激を受けていると思う。足元を見ながらやってもらえれば」と口にする。タレント揃いだった昨年に比べるとやや小粒であることは確か。それでも、鹿島や東京Vで活躍した指揮官は「(どんな立ち位置、状況でも)直向きに100%出し続けること」を期待。今回、リーグ戦の成績でライバルを上回ったものの、現状ではできていないことも多い。それだけに、東京Vはトレーニングから常に100%でやり続けることによって、個々、チームとしての成長、結果を求めていく。

(取材・文 吉田太郎)

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