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菊島宙がついに世界デビュー? ブラインドサッカーの女子の国際大会が11月にナイジェリアで初開催へ

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昨年2月に行われたIBSA世界選抜戦でも9得点を奪った菊島宙(右から2人目)

 ブラインドサッカーの女子の世界大会(W杯)を11月21~29日までナイジェリア・エヌグで開かれることが明らかになった。国際視覚障がい者スポーツ連盟(IBSA)が発表した。出場チーム数など細かい大会概要は明らかになっていないが、全盲選手だけで競う男子と違い、女子は弱視の選手でも出場可能となる見通し。男子はすでに2018年のスペイン大会まで7回ワールドカップ(W杯)が開かれ、パラリンピックも4回開かれてきたが、女子は国代表同士の国際大会となれば初めてとなる。

 W杯となれば、わずかに視力が残る女子日本代表の絶対的エース、17歳の菊島宙(埼玉T.Wings)にとっても初の世界デビューとなる。2017年に発足した女子日本代表として海外チームとの対戦で6試合で21ゴール、昨年度の東日本リーグで男子選手にまじって、5試合で25得点をあげた菊島の得点力は磨かれていく一方だが、最近2年間は、国内で2月にアルゼンチン選抜やIBSA世界選抜と戦うことはあっても、公式の国際大会はなかった。「ブラインドサッカー界の澤穂希」と言われてきた菊島の世界デビューは関係者からも待ち望まれてきた。

 「世界一の選手を目指している」と常々語る菊島は昨年3月、男子日本代表が4位に食い込んだワールドグランプリ(WGP)も、自分のスマホをWiFiにつなぎ、わずかに残っている視力を頼りに顔とスマホの画面を極端に近づけて男子の戦いぶりを見ていたという。WGPが終わった約1か月後の昨年5月、菊島はゲキサカにこう明かしていた。

「海外の人とやりたいなって改めて感じました。でも急には自分も(状況も)変われない。今の自分よりよくなるようにしていく。今はそれしか言えません」

 女子のW杯や国際大会が実現すれば、菊島が国内の枠を超えて、世界中から注目される存在になることは間違いない。ブラインドサッカーは2024年のパラリンピック(パリ)まで種目として残る予定だが、その後は未定。パラリンピック種目に残る条件のひとつに女子の競技普及が掲げられており、IBSAも今年、女子の国際大会を実現させることを模索していた。11月にナイジェリアでW杯が開かれることになれば、将来的に女子のブラインドサッカーがパラリンピック種目になることへの第1歩にもなりそうだ。今まで見えないゴールに向かってボールを蹴り続けてきた菊島に、一筋の希望の光が差し込んだ。


【女子日本代表の過去戦績と得点者】
▼2017年5月6日「IBSAブラインドサッカートーナメント」(オーストリア)
〇2-0イングランド・ギリシャ選抜 菊島宙(2)
〇2-0ロシア・カナダ選抜 菊島宙(2)
〇1-0IBSA選抜 菊島宙
〇1-0IBSA選抜(決勝戦) 菊島宙

▼2018年2月24日「さいたま市ノーマライゼーションカップ」
〇7-3アルゼンチン選抜 菊島宙(6)斎藤舞香

▼2019年2月23日「さいたま市ノーマライゼーションカップ」
○10‐0IBSA世界選抜 菊島(9)工藤綾乃
※大会名の後の名前は得点者。( )はゴール数

(取材・文 林健太郎)

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