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田川、樺山を追いかけて同時に横浜FM入り!ポテンシャル十分の興國CB平井は前行く選手を追い越すのみ

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横浜F・マリノスへの加入が決まった興國高の大型CB平井駿助

 ポテンシャル十分の大型CBが、追いかける立場だったライバルや先輩よりも前に出る。11日、興國高(大阪)のCB平井駿助(2年)が21年シーズンから横浜F・マリノスに加入することが発表された。185cmの高さと身体能力の高さ、そしてフィード力などに注目の2年生CBだが、同じく興國から加入するGK田川知樹(2年)やFW樺山諒乃介(2年)に比べると、台頭してきた時期は遅い。「高校入ってから、2人とも『やべぇヤツいるな』という存在だったので、その2人と一緒にマリノスに加入できることは驚きが大きいです」と平井は明かす。先を行っていたライバル2人に近づき、同期として同じ横浜FMからプロ入り。これから彼らや前を行く先輩たちを追い抜いていくつもりでいる。

 興國の内野智章監督は平井について、「手が左利きで足が右利きというイレギュラーなんですけれども、動作とか左足のキックとか右足のキックとか色々な部分でいい影響が出ている。サイズがあって、両足でボールを扱えて、身長は今でも伸びている」と説明する。

 260人もの部員がいる興國で柱となったのは、2年時途中から。中学3年時から比べると身長が10cm以上伸びており、身体のバランス、コーディネーションの部分も成長の余地がまだまだある選手だ。だからこそ、内野監督は「アイツ自身が自分のポテンシャルに追いついていないです」と微笑む。実績や注目度では樺山や田川に劣るが、持っているポテンシャルは彼ら以上という評価。平井自身もここ数か月での成長を実感していた。

 昨秋の練習参加時は、J1最強クラスの攻撃陣を1対1でなかなか止めることができなかったという。だが、そこから意識してトレーニングして迎えた今年1月の宮崎キャンプでは「キャンプや興國の練習でも成長できているなと思っていて、止めれるところが多くなってきたので、まだまだ上に行けるかなと。練習試合に出させてもらって(町田)ゼルビアとやらせてもらったんですけれども、ヘディングで勝ったりとか、守備では通用するなと自信になりました」。DFを背負おうとするFWへ厳しく当たる部分など高校レベルには無いような強さを発揮するようになったが、J1で戦えるストッパーになるためにはまだまだやらなければならないことがたくさんある。また、超攻撃スタイルの横浜FMのCBではボールを動かす部分でも多くを求められる。

 それでも、田川が「(平井は)数か月とかで凄く成長したと思うし、凄く自信を持っているなという印象」と分析し、樺山も「平井は対人とかビルドアップもこの一年でめっちゃ成長していて、今はもう頼もしいんで後ろの安定感はアイツで大分保てていると思います」と賞賛する平井は、自分を信じて成長曲線を描き続けるだけ。そして、攻守両面で横浜FMのCBとして必要な要素、レベルを持ち合わせた選手になる。

 努力を継続することができる才能も評価されているポイントだ。宮崎キャンプ(1月)では「僕はこのキャンプでオファーをもらうつもりで行ったんですけれども、もう一つCBとして盗んで来ようと思っていました。ヘディングとか聞いて見ようと思って、通訳の方を通してチアゴ(・マルチンス)に教えてもらったりした。『ヘディングはタイミング掴むのとかも練習が必要なので、首とか鍛えて遠くに飛ばせるように練習を積み重ねることが大事』と言われました」。能力の高さだけでなく、そのような探究心の強さが、彼を大きく成長させてきている。

 これからともに戦う横浜FMサポーターに向けては「自分の特長としては(身長)185のデカイところを活かしたヘディングの強さだったり、身体が動くのでカバーリングの速さというところを見て頂きたいです」。ここから経験を重ねていく上でレンタル移籍することも覚悟の上。「そういうところで成長して最終的にはヨーロッパでプレーしたいと思っていますし、日本代表にも入りたいと思っています」と意気込んだ。

“タレント軍団”興國でも前を行く選手たちを追いかけて追い越してきた。プロ入りを勝ち取り、自信も得たCBはJ1王者でも臆せずに先輩たちに食らいつき、時間がかかっても必ず追い越してJ1、そしてその先のステージでも活躍する。

(取材・文 吉田太郎)

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