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[新人戦]「3年前の黄金世代を超えるプレーがしたい」。愛知の技巧派集団・名経大高蔵が東海学園を下し、タイトルに王手

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高いスキルで差を見せつけた名経大高蔵高MF岩松虎徹

[2.11 愛知県高校新人大会準決勝 東海学園高 0-1 名経大高蔵高 港サッカー場]

 令和元年度愛知県高校新人大会サッカー競技の準決勝が11日に行われ、東海学園高名経大高蔵高が対戦。後半20分にFW亀山柊人(2年)が決めた決勝ゴールによって、名経大高蔵が1-0で勝利した。名経大高蔵は15日の決勝で岡崎城西高と対戦する。

 巧みなボール扱いで相手の裏を取りながら前進し、ゴール前では息の合ったコンビネーションで密集を抜け出す。愛知県では異色のサッカーを展開するのが、新興の名経大高蔵だ。昨年のインターハイを経験した選手が多く残る今年は、戦術理解の浸透が進み、島井雅也監督は「面白いサッカーが出来ると思う」と自信を覗かせる一年だ。

 準々決勝から中2日で東海学園を迎えたこの日は、「前半はスローペースで良いと指示した」(島井監督)。序盤は中盤での奪い合いが続き目まぐるしく攻守が代わる展開となったが、徐々に「自分へのプレッシャーが弱かったので、やりたいことが出来た」と話すMF岩松虎徹(2年)や木下大輔(2年)を中心が推進力溢れるドリブルを繰り出し、名経大高蔵が攻撃のリズムを作り始めた。

 最初の見せ場は前半23分。岩松、木下、亀山とPA内を素早く繋いでゴールネットを揺らしたが、オフサイド。また、前半終了間際には右サイドからのパスを受けた亀山が決定的なシュートを放ったが、右ポストに阻まれ、無得点で前半を終えた。

 対する東海学園も、中盤で巧みなボールハントを繰り返したMF古久根一真(2年)や、鋭い突破を見せたFW越慎之助(2年)を中心にチャンスを伺ったが、シュートまで持ち込む場面はごくわずか。主将のDF佐藤汰一(2年)は、「なかなか前半から、自分たちが目指す相手の嫌な所にドンドン走るサッカーが出来ず苦しい時間が続いた」と振り返った。

 エンドが入れ替わった後半は、追い風を武器に名経大高蔵が攻撃のギアを入れた。後半19分には、相手エリア中央をドリブルで仕掛けた岩松がゴール前にスルーパスを入れたが、MF深津佑太(1年)のシュートは、東海学園GK岩島功(2年)に阻まれた。直後の20分には右サイドを抜け出したMF大屋哲平(2年)がゴール前にクロスを入れると、最後は中央の亀山がダイレクトで合わせ、名経大高蔵が均衡を崩した。終盤は同点ゴールを狙った東海学園に押し込まれる場面が続いたが、DF鈴木凜太郎(2年)を中心とした3バックが集中力を切らさず跳ね返し、1-0で逃げ切った。

 2度目のインターハイ出場を果たした昨年は、身体能力の高い3年生の持ち味を活かした力強いサッカーが主体だった。全国大会初勝利を含め2勝し、全国ベスト16まで進んだが、準々決勝では京都橘高に力の差を見せつけられ、0-3で完敗。チームとしても、個人としても消化不良感は否めず、岩松は「負けた京都橘戦は、自分の所に二人、三人と奪いに来て、自分のプレーを出し切れなかった」と振り返る。

 迎えた今季は冒頭の言葉の通り、手応えは十分だ。選手層も厚く、今大会ではサブを総とっかえしながらも、粘り強く決勝まで勝ち進んできた。試合数をこなすうちに、新たな主力選手の頼もしさも増しており、島井監督は「昨年から、試合に出ていた選手は堂々とやってくれる。緊張で動きが堅くなるのを心配しなくても良い。ただ、今まで試合に出ていなかった子たちがビビっちゃうので、ここまで来られたのは、凄く大きな経験」と口にする。

 期待の一年のスタートダッシュは順調だが、岩松が「パスで繋いだり、ドリブルで仕掛けたり、皆で点を取るサッカーをしていきたい。(インターハイに初出場した)3年前の黄金世代を超えるプレーがしたいし、インターハイも選手権どっちも全国に出たい」と意気込む通り、視界に捉えるのはあくまで全国大会での躍動だ。自信をより確固たる物にするため、決勝でも名経大高蔵らしいサッカーで白星を目指す。

(取材・文 森田将義)

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