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スパーズサポの“差別的自称”が著名辞典に収録、クラブも疑問視

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ユダヤ人モチーフが描かれたサポーター製作Tシャツ

 世界的権威を持つオックスフォード英語辞典の最新版で、ユダヤ人差別の言葉として使用されてきた単語『Yid』の項目に「トッテナムのファン、あるいは選手」という意味が新たに記されたようだ。イギリス『ガーディアン』などが批判的に報じている。

 トッテナムのサポーターはこれまで長年にわたり、『Yid』『Yid Army』といった自称を用い、さまざまなバナーや歌詞に使用してきた。この語法が今回、権威のある辞書に採録されたことで、一定の市民権を得る形となった。

 もっとも、この言葉はユダヤ人差別の際にも使われてきた用語だ。2013年にはイングランド協会(FA)が警告を行い、観戦禁止や訴訟に発展する可能性も示唆。またユダヤ人当事者からの批判も絶えず、かねてより『Yid』を自称する人々からも「クラブのファンの大多数はユダヤ人ではないため、『再生』する権利はない」といった批判が向けられてきた。

 クラブ側は「クラブの公式チャンネルやショップで『Yワード』を使ったことはなく、私たちのファンは決して誰かを攻撃する意図を持ってこの用語を使用してきたわけではない」と差別的な意図はないと主張。もっとも、辞典の定義は「文脈を区別できずに誤解を招くもの」だとし、「明確化することを歓迎する」と首肯しない姿勢を示した。

 なおクラブは過去に『Yid』という言葉に関するアンケートを実施。回答者のほぼ半数はファンがこの言葉を含んだチャントを歌わないことを望み、94%が「人種差別的な用語とみなすことができる」と認めていた。その一方で、33%がサッカーの文脈において定期的にこの言葉を使い、12%はそれ以外の文脈で使用していたことが判明した。

 この件について、オックスフォード英語辞典の製作側は「辞書では歴史的なアプローチを採用している。すなわち単語の使用方法を規定するのではなく、単語の使用と展開を記録することに意味がある」という立場を強調。「クラブがユダヤ人コミュニティと関係があり、この用語が一部ファンに『自称』として使用されていることを反映している」と採録の意図を説明したという。

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