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「いつもラストチャンス」紅白戦でシュートを5本を阻止したブラサカ日本代表GK佐々木の執念

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黒田のシュートを阻止した佐々木智昭(中央)

 ブラインドサッカー日本代表が15日、千葉市内の合宿を公開した。GK佐々木智昭が昨年6月のトルコ遠征以来の代表復帰。この日、行われた紅白戦でも気持ちの高ぶりがプレーににじみ出た。

 佐々木はストライカーの黒田智成のシュートを一度、体に当てて阻止したが、そのボールがゴールに吸い込まれそうになると、体を投げ出して外にかきだした。それ以外にも決定的な場面で黒田のシュートを2本、主将の川村怜のシュートも2本阻止。紅白戦で1失点した佐藤大介とは対照的に佐々木は無失点で切り抜け、存在感をアピールした。

「トルコ遠征以降も準備はしてきたが、代表に入れなかった。GK練習のウォーミングアップからアピールしないといけないと感じました。パラリンピックの日本代表に選ばれるにはこの大会で日本代表に入らないといけないと思っていた」

 今年、日本代表強化指定選手の中にGKは4人いる。正GK佐藤大介につぐ第2GKの座を佐々木、高橋太郎、泉健也の3人で争う。2018年冬にフットサルから転向し、本格的にはじめてまだ2年足らずと他の選手より経験が浅い佐々木は、ピッチ上で何か光るものを残す必要があるのだ。

 身長182cmと他の3人に比べて一番背が高く、大柄な佐々木はより俊敏な体にするため、栄養士の奥村由貴さんの指導を受け、食事面から意識を変えた。普段、仙台に拠点を置き、スポーツ用品や健康促進の商品を扱うファイテンの店舗で働くため、食事は定時にとれる環境にない。体質的にも太りやすいため、1回に摂取するご飯の量は200グラム以下。コンビニのおにぎり(約160グラム)におきかえると1個ちょっとしか食べない計算だ。その分、野菜や魚などおかずの種類も増やし、バランスのいい食事を心がけた。大半の代表選手と違い、東京にいないため、高田監督を含めたスタッフと会う機会は少ない。自分の気持ちしか頼るものがない中で節制を続けてきたことに意味がある。

「食事から変えることで体が軽くなったなと感じています。今回、日本代表に選んではもらいましたが、いつもラストチャンスだ思っています。パラリンピックも、その先も(競技生活は)ありますが、まずこのWGPでアピールすることが、パラリンピックのメンバーに入るためのアピールになる。ひとつひとつ集中してやっていきたい」

 グラウンドに来る前から勝負をかけてきた佐々木は、チームを救うビッグセーブをイメージしながら、パラリンピック本番に行く道筋を見据えている。

■3月16日開幕 ワールドグランプリのチケット販売情報はこちらから

▼ワールドグランプリ2020 日本代表メンバー
GK佐藤大介(たまハッサーズ)
GK佐々木智昭(コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ㉜)
FP川村怜(パペレシアル品川㉚)
FP黒田智成(たまハッサーズ㊶)
FP田中章仁(たまハッサーズ㊶)
FP加藤健人(埼玉T.Wings㉞)
FP佐々木ロベルト泉(パペレシアル品川㊶)
FP寺西一(パペレシアル品川㉙)
FP佐々木康裕(ファンタス千葉SSC松戸ウォーリアーズ㊹)
FP園部優月(free bird mejirodai⑯)
※丸数字は年齢

【大会開催概要】
▼出場国:8カ国
(グループA) 
アルゼンチン①、中国③、日本⑬、ドイツ⑳
(グループB) 
ブラジル②、スペイン⑤、フランス⑪、タイ⑮
※丸数字は世界ランキング

▼スケジュール
≪3月16日≫
11:00(B)ブラジル―スペイン
13:30(B)フランス―タイ
16:45(A)アルゼンチン―中国
19:15(A)日本―ドイツ
≪3月17日≫
11:00(B)スペイン―タイ
13:30(A)フランス―ブラジル
16:45(A)中国―ドイツ
19:15(A)日本―アルゼンチン
≪3月18日≫
11:00(B)タイ―ブラジル
13:30(B)スペイン―フランス
16:45(A)ドイツ―アルゼンチン
19:15(A)中国―日本

3月19日予備日 

≪3月20日≫
10:00下位トーナメント
12:30準決勝①
15:30下位トーナメント
18:00準決勝
≪3月21日≫
10:00 7位決定戦
12:30 5位決定戦
15:30 3位決定戦
18:00 決 勝

▼過去の大会結果
2018年優勝 アルゼンチン、準優勝 イングランド、3位 トルコ (日本は第5位)
2019年優勝 アルゼンチン、準優勝 イングランド、3位 スペイン(日本は第4位)

(取材・文 林健太郎)

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