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キャッチミスから痛恨被弾も…チームに支えられた大分GK高木駿「きっと大丈夫」

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痛恨の黒星となった大分トリニータ

[2.16 ルヴァン杯GL第1節 湘南1-0大分 BMWス]

 0-0で迎えた終了間際、試合の均衡は思わぬ形で破れた。「最後の最後にああいう形でスキを突かれて負けるというのはサッカーにおいてよくあることかもしれないが……。開幕戦で起きたことをポジティブに捉えて、リーグ戦でスキを作らないサッカーをしていくしかない」。試合後、敗れた大分トリニータ片野坂知宏監督はなんとか前向きな言葉を絞り出した。

 後半アディショナルタイム、湘南ベルマーレMF馬渡和彰が蹴り出した平凡なロングキックを皮切りに悲劇が起きた。空中戦を競った湘南の選手はいなかったものの、これをキャッチしようとした大分GK高木駿がファンブル。落としたボールを拾ったDF坂圭祐に慌てた高木は手で相手を倒し、土壇場のPKを献上した。これをMF梅崎司に沈められ、黒星が決定づけられる痛恨の失点となった。

「キーパーボールになって、相手が来ていなかったので安全に処理しようと思い、上で処理すると滑るので胸でのキャッチに切り替えたけど、ボールの落下地点を誤ってファンブルして、こぼれ球で相手に反射的に手が出て引っ掛けてしまった。最後に締めないといけない部分で自分のミスでPKを与えてしまったので、自分が反省すべきところ」。失点を招いた責任の所在は明らか。高木自身もそれを自覚している。

 ただし、大きな反省を引きずり続けることで犯したミスを取り消すことはできなければ、次のミスを万全に避けられるわけでもない。「これを教訓にするしかない。ミスをしないに越したことはないけど、ミスをしたことで自分の中でどう処理するのか、チームの中でどう処理するのかを考えることが一番大事」。近年の躍進を支えてきた守護神は辛くも前を向き、1週間後に控えるリーグ戦に気持ちを集中させている。

 そうした切り替えにおいては、チームの雰囲気も一役買っているようだ。試合後の取材エリアでのこと、悔やむ言葉を述べる高木を見つめながらムードメーカーのFW三平和司が通りかかると、その視線に気付いた高木が「いま反省、反省文です」と神妙に告白。三平も「ああ、反省」と含みがちに答え、腫れ物に触れるようでもなく、かといって冗談で笑い飛ばすでもなく、ミスをフォローする空気感が生まれていた。

 また片野坂監督も試合後のロッカールームで「今日はミスをしたのは駿だったけど、点を決められなかったりもある」と高木を支える声をかけたという。だからこそ高木は「ミスを忘れて次に行こうというのも大事だし、ミスをしたことを完全に忘れたらまた同じミスを繰り返すので、そこは自分の中でしっかり噛み砕いていく」ときっぱり。「そういうのはここ何年かで試合に出て、しっかり処理できるようになった」という自信も胸に「だから、きっと大丈夫です」と気丈に語った。

「僕がミスをした時には、だいたいみんなが声をかけてくれる。だから僕もいろんなところでチームに貢献して、もしミスをした時に助けてもらえるような選手でいられるように、信頼してもらえるようにチームの中で日々やっている。それがこういう時に気さくに声をかけてもらえたり、励ましてもらえたりするんだと思う。たぶん誰かが決定的なミスをしたり、決定機を外したとしても、それがチームだからと全員が思えている」(高木)。守護神が招いたショッキングな失点さえも成長への糧とし、大分トリニータは昨年に続く躍進を目指す。

(取材・文 竹内達也)

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