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Jの2クラブに練習参加。流経大柏GK松原颯汰が将来へ向けて増やしている「武器」

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今年の注目GKの一人、流通経済大柏高GK松原颯汰(写真は日本高校選抜選考合宿)

 1年時の選手権で活躍した守護神が、将来のために「武器」を増やしている。GK松原颯汰(新3年)は18年度の全国高校選手権で勝負強さを発揮し、流通経済大柏高(千葉)の決勝進出に貢献。昨年はU-17日本代表に初選出され、今年は日本高校選抜に名を連ねた。

 新型コロナウィルスの影響によって、日本高校選抜の欧州遠征メンバー選考合宿とデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)出場が中止に。松原は高校選抜の守護神として欧州で経験を積むチャンスがあっただけに、「高校選抜を通して周りの良いところを見たり、自分のプラスになることがあったので、もっと良い選手のプレーを見たり、『自分ができるんだぞ』という場を作りたかったですね」と残念がる。

 それでも、松原は高校選抜の活動が中止となった3月の期間も自主練を続け、J2千葉へ1週間、J1湘南にも3日間の練習参加。「(プロは)スピード感が違ったり、GKの部分で言ったら止まるスピード、寄せスピードとか、クロスに対する強さだったり、シュートストップで伸びるところとか、全てにおいて差を感じたので行って良かった」と頷く。

 Jクラブに練習参加した短い期間でも成長できたという実感がある。「この期間で伸びたと思うのが1対1の部分だったり、そういうところでの自信というのがどんどんついていって、ジェフの時はあまりシュートを止めることができなかったんですけれども、ベルマーレの時は少し止められるようになりました。(かつて湘南に所属していた)秋元陽太選手(現町田)にサイズ的に似ているんで、そういう面でスピードとかもっと上げていった方が良いぞとか、そういう(プロのコーチからの)言葉は本当に行って良かったと思います」。その松原は、課題だった足元の技術が明らかにレベルアップしている。

 松原の身長は180cmほど。シュートを止める力は高体連屈指だが、プロ入りを果たし、ポジションを勝ち取るためにはそれだけでは足りない。サイズに目を瞑っても起用してもらうだけの「何か」が必要だ。新生・流経大柏がよりボールを支配するスタイルに舵を切っている中、松原も攻撃にかかわる回数が増加。本人も認める通り、昨年まで課題となっていた足元だが、彼はこれを新たな「武器」を手にするチャンスに変えつつある。

 当初はポゼッションでのミスが増えてしまっていた。それでも、質、スピードを自分に要求し、常に周囲を見ることを意識する松原は好フィードを連発するなどキックで違いを示すほどになってきている。ピッチ外ではややフワッとしたところがあったことも確か。だが、最高学年となった現在は自分と向き合い、将来を真剣に考える姿も見られるという。その姿勢が成長を加速させているのかもしれない。

 クロスに対する強さなども出てきている印象。ここぞのビッグセーブでチームを勝たせる力も磨きをかけている。Jクラブに練習参加したことで基準を明確にした注目GKがこの1年間、プロのステージで通用する「武器」を増やし、プロ入りと目標の3冠を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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