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[練習試合]「なくしても良いから行けと」MF岩永、MF小田の両翼が強みに。好守も光った長崎総科大附が5-0勝利

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MF岩永空潤は果敢に仕掛けを連発し、長崎総合科学大附高に勢いをもたらした。パンチのある左足シュートで2ゴールを演出

[3.28 練習試合 長崎総合科学大附高 5-0 立正大淞南高]

 28日、ともに今年1月の全国高校選手権に出場した長崎総合科学大附高(長崎)と立正大淞南高(島根)が練習試合で対戦し、長崎総科大附が5-0で快勝した。

 ともにこの日2試合目。第1試合からの休養時間が立正大淞南より長かったことは確かだが、長崎総科大附が今年のストロングポイントである両翼の攻撃力を活かすなどゴールを連発して強豪対決を制した。

 長崎総科大附の両翼は簡単には止まらない。特に右のMF岩永空潤(新3年)がスピードを活かした縦への仕掛けとカットインから放つ左足シュートで存在感。1-0の前半10分には「(監督の)小嶺(忠敏)さんも『両サイドが持ったらすぐにドリブルして良い』と。『持ったらなくしても良いから行け』と言われているので」という岩永の果敢なカットインシュートが左ポストを叩き、こぼれ球をFW岩見海斗(新3年)が押し込む形で2点目のゴールが生まれた。

 また、35分にも岩永の左足FKがGKの手を弾いて再びポストを叩く。今度はこぼれ球をMF原口玖星(新2年)が押し込んで3-0となった。加えて「相手を一瞬のスピードで抜いたり、テクニック使ったりもできるので、ドリブルは幅広く自信があります」という強力ドリブラー・MF小田晃暉(新3年)も左サイドでチャンスに絡む。

 長崎総科大附はこの試合2得点のFW牧田陽太(新2年)と岩見の2トップが献身的な守備に加えて、攻撃でも相手のDFラインを押し下げる動き。再三セカンドボールを拾っていたMF田中満斎(新3年)と原口が両翼に展開し、岩永は相手DFが2人だろうが3人だろうがどんどん仕掛けていく。ボールをロストする回数も増えていたが、岩永、小田の両翼のアグレッシブな仕掛けはチームに推進力を生み出していた。

 立正大淞南もMF山田和樹(新3年)が鋭い読みを活かした守りで相手の攻撃に蓋をし、GK長野大河(新2年)が好セーブでチームを支えていた。そして、攻撃でもMF吉田竜樹(新3年)のスルーパスからFW矢野佑介(新3年)がシュートへ持ち込んだほか、33分には右サイドから崩してMF藤井嵐(新3年)が強烈な右足ミドル。コースを捉えた見事な一撃だったが、長崎総科大附は九州屈指のGK梶原駿哉(新3年)が反応して完璧にはじき出す。

 長崎総科大附はCB藤田和也(新3年)とCB田中翼(新3年)の両DFが的確なカバーリングで要所を締め、梶原も雨中のゲームで隙見せない。また、小林麗王(新3年)と大石航大(新3年)の両SBが攻め上がりから決定機を演出するシーンもあった。長崎総科大附は藤田がCKからゴールを決めるなど、各選手が特長を発揮する形で会心の勝利。「オレと(岩永)空潤が仕掛けるか、仕掛けないかで変わってくるので、積極的に行くようにしています。相手関係なく自分たちはどんどん仕掛けた方が良い。そこから攻撃のリズムが生まれることが多いので仕掛けることは常に意識しています」という小田と岩永の攻撃力は今シーズン、長崎県内外のライバルたちを大いに苦しめそうだ。

 岩永は選手権全国大会も先発出場したが、思うようなプレーをすることができなかったという。今年は「去年から出ているんで、今年は自分がやらないといけないと思っています」と語るように、自覚が高まっている。

「去年は点決めようとか思っていなくて、ただ良いプレーをしようとか、ドリブルしようと思っていて、今年はドリブルもなんですけれども点を取ることを意識してやっています」。相手が人数をかけてマークしてきても強引に仕掛けてシュートへ。高川学園高戦でも1ゴールを決めるなど、強豪相手でも1ランク上のプレーをしていた印象だ。

 小田は九州新人戦では連戦の中で身体が動かず、大会終盤に良いパフォーマンスを継続することができなかったことを反省。春の期間に課題の部分を改善し、武器を磨くだけだ。今年の目標について小田は「全国優勝したいし、個人的にも色々なところから目をつけられたいという思いがあります。抜くだけじゃなくてゴールもしたいし、アシストもしたいし、良いプレーだけじゃなくて数字に残る結果を残したい」と語り、岩永は「自分で点を決めること。小嶺先生に18回目の全国制覇をさせてあげたいと思っています」と意気込んだ。2人は、梶原や藤田ら経験者を残すチームを両サイドからの仕掛けで牽引し、チームに勢いとゴール、そして白星をもたらす。

長崎総科大附は左MF小田晃暉も突破力を備える


(取材・文 吉田太郎)

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