beacon

[練習試合]全国トップレベルの相手との戦いで感じた「あと少し」の必要性。立正大淞南はこだわって目標達成へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

守備能力の高さを印象づけていたMF山田和樹。「あと少し」にこだわって立正大淞南高を楽にする

「全然、まだです」。ジャパンユース プーマ スーパーリーグでJFAアカデミー福島U-18(静岡)や履正社高(大阪)、星稜高(石川)に快勝するなど、まずまずのスタートを切っていた新生・立正大淞南高(島根)だが、1か月強ぶりとなる練習試合となったこの日は2連敗。チームリーダーの一人、MF山田和樹(新3年)は悔しさを滲ませていた。

 立正大淞南は昨年の10番MF山田真夏斗が松本入り。1ボランチを担う山田と左SB松村巧(新3年)が当時からのレギュラーだ。加えて、FW古山兼悟(新3年)、MF藤井嵐(新3年)、MF鈴木暁大(新3年)、MF吉田竜樹(新3年)や新2年生のCB岩本剛気、GK長野大河ら今年も面白い選手たちがいる。

 この日の高川学園高(山口)戦も、長崎総合科学大附高(長崎)戦も中央突破、高速プレスという特長を発揮する時間帯はあった。だが、いずれの試合も後半に前線の運動量を欠いたところや、細かなミスが失点の原因に。また、得点も奪うことができなかった。

 長崎総科大附戦では右サイドから崩し、藤井の強烈な右足ミドルがゴール左隅を襲ったが、年代別日本代表候補歴を持つ相手GK梶原駿哉(新3年)がファインセーブで阻止。藤井は「自分でも『来た!』と思ったけれど、相手のGKが上手かった。(全国レベルを)今日肌で感じました」と語り、全国トップレベル相手でも決められるように「あと少し」のレベルアップの必要性を感じ取っていた。

 この日、鋭い読みを活かしたディフェンスで幾度もボールを奪い取っていた山田も、全国トップレベルとの対戦で「あと少し」の差を学んでいる一人だ。先発した全国高校選手権1回戦の富山一高(富山、インターハイ準優勝校)戦では、終了2分前にクロスから失点。PK戦に持ち込まれ、惜敗した。

 山田は「去年は自分のせいで負けたという感じです。最後の失点も自分がスライディングしていれば防げたと思っているので、そういう気持ちを忘れないで一歩一歩近づいていきたい」。全国トップクラスの相手に勝つために最後の一歩まで緩めずにやり切ること。立正大淞南は知将・南健司監督の下、勝敗を分ける細かな部分を日々学んでいる。その細かな部分の大切さを改めて実感している彼らは、個人個人が意識を高めて「あと少し」をできる集団にしていく。

 この日、山田は印象的な守備を見せていたが、本人は納得していなかった。「まだ最後粘り切るとか、球際の部分で自分の後ろにボールがこぼれたりしたので、そこで自分が抑えられたらチームも楽になる」。山田の兄・CB山田祐樹(現びわこ成蹊スポーツ大)はOBで元主将。山田は自分もチームを引っ張り、こだわって立正大淞南を楽にできるような選手を目指す。

 MF井上健太(福岡大新4年)がいち早く大分内定を決めるなど、立正大淞南OBのJリーガーも年々増えてきている。その中で後輩たちの大目標は、先輩たちがまだ成し遂げられていない全国制覇だ。藤井は「(個人としては)速く仕掛けろといわれている。今のままでは上では通用しない。まだ全然できていない。自分は両足蹴れるのが武器。縦にも中に入ってシュートにも行けるのが武器なので、チームのためにやっていければいい」と誓い、山田は「自分が1ボランチなので自分が2、3人分働けるようにしたい」と力を込めた。高川学園とのB戦は大量得点を奪って勝利。アピールを狙う選手たちと競争しながらチーム力を引き上げ、全国で勝つチームになる。

MF藤井嵐は両足のキック精度などが武器。全国トップレベル相手でも決める力を身につける


(取材・文 吉田太郎)

TOP