beacon

インハイ優秀選手で京都橘GK中村青に芽生えた「自分が橘の正GKだ」という自覚

このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年のインターハイ優秀選手。京都橘高GK中村青はより安定感の高いGK、チームを勝たせるGKを目指す。(※写真は19年インターハイ)

[2020シーズンへ向けて]
(※京都橘高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)


 全国大会での評価によって、自覚が芽生えた。京都橘高(京都)のGK中村青(3年)は昨年のインターハイで大会優秀選手を受賞。プリンスリーグ関西で関西トップレベルのスピードに苦戦していた段階でまだ不安もあったというが、高い安定感を特長とする守護神は「(インターハイでは)悪くないパフォーマンスはできたと思います」。PK戦となった専修大北上高(岩手)との初戦でヒーローになると、続く3回戦を無失点で終えるなど初のベスト4進出に貢献した。

 優秀選手は「正直、まさか選ばれるとは」というサプライズだった。京都橘では地元・滋賀の先輩で入学前から「凄い」と感じていたGK松田龍之介(現京都橘大)、ナショナルGKキャンプメンバーのGK前田宙杜(3年)、GK郷田凪砂(3年)らハイレベルな守護神争い。それまで、正守護神の座を狙う一人だった2年生GKは、全国舞台で得た評価が良い意味での自信となり、ピッチ内外で「一番」にこだわるようになった。

「『自分が橘の正GKだ』という自覚が芽生えましたし、練習に対する取り組みとか『自分が一番』みたいな感じでやらないといけないなと思いました」

 まだまだ声、クロスにチャレンジする部分など改善しなければならない部分はある。また、全国高校選手権初戦の鵬学園高(石川)戦は1-1からのPK戦で敗れ、小学生時代から続いてたPK戦不敗がストップ。PKではより我慢してから跳躍することなど、絶対的な武器もより磨く必要性を学んだ。

 だが、同時に自分の成長も実感している。「セービング、シュートストップに関しては、関西トップレベルでやらせてもらいましたし、そこで結構止めることができて、準備の質が変わって止められるようにはなりました」。より、一つひとつのプレーの質を上げて、アトレティコ・マドリーのGKヤン・オブラクや日本代表GK大迫敬介(広島)のように安定感高く、チームを勝たせられるGKを目指す。チーム内のライバルにも、中学時代の関西GKキャンプでレベルの高さを実感したというGK松原颯汰(流通経済大柏高3年、日本高校選抜)にも、負けるつもりはない。
  
 新型コロナウイルス感染拡大を受け、京都橘は5月6日までの休校を決定。チーム練習をすることができなくなった。その中で、中村は自宅の庭で2歳年下の弟にボールを蹴ってもらう形で「ハンドリングのところは欠かさずにやっています」。また、足元の部分も感覚を維持、現状以上のレベルに持って行けるように取り組んでいくつもりだ。

 中村にとってベストゲームというのが、1年時の関西U-16リーグの履正社高(大阪)戦。3-0で勝利し、トップチームに上がるきっかけにもなった一戦だ。昨年、経験したインターハイや選手権は、彼にとってまた飛躍するためのきっかけとなった。そして、今年はさらなる成長を遂げて、チームを日本一に導く一年にする。

「(開催は未定だが)インターハイも、選手権も出るのは通過点とチームで話し合っています。去年は出て負けていますし、全国で勝てるチームじゃないといけない。その中で僕も守りの中心にならないといけないです。GKが目立つと、チームとして良くないので、自分が前でプレーできるように。DFラインを高くしたり、もっと攻撃に参加できるGKになっていきたいです」。そして、試合で必ず訪れるであろう、1度、2度のピンチで自分が止めて、今年は全国で頂点まで勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校総体2020

TOP