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昌平のU-18代表FW小見洋太は決定力を磨き上げて「決め切れる選手」「全国で爆発」へ

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昌平高のU-18日本代表FW小見洋太は今年、よりゴールにこだわる。

[2020シーズンへ向けて](※昌平高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 決め切れる選手に、なる。昌平高(埼玉)のFW小見洋太(3年)は今年、U-18日本代表、日本高校選抜にも選出された注目ストライカーだ。「動き出しは誰にも負けないと思っています」という武器は見ている人々が驚くほどの量で、質も高い。ピッチ外ではとても柔和な印象だが、ピッチに入るとスイッチが入ったかのように凄まじい動きで相手DFに襲いかかり、執着心を持ってゴールを狙い続ける。

 特別なサイズやスピードがある訳ではない。ただし、常に相手の急所を狙っており、80分間、90分間通してひたむきに動き出しを繰り返す。昌平の系列チームであるFC LAVIDA出身のFWは、技術力も備えており、ドリブル、ポストワークも巧み。接触プレーを怖れることなく最後の一歩まで諦めずに身体を投げ出し、コースがあれば角度のない位置からでも強烈なシュートを枠に打ち込む。また、守備では2度追い、3度追いを苦にすることなく、まるで“2人分”の働き。その迫力含め、対戦したDFにとって怖い選手であることは間違いないだろう。

 その小見は、目標とする選手に川崎FのFW小林悠の名を挙げる。「裏への動き出しなどで自分と重なるところがあり、参考になるプレーが多い。また決定力もあり、チームを勝たせられる選手だと思うので」とコメント。17年のJ1得点王、4シーズン連続J1で2桁得点を記録している小林は、小見の目指す姿だ。

 スタメンに定着した昨年、小見は「FWとして背はそこまで大きくはないですが、相手の嫌なことを常に考えながらプレーすることはできていたと思います。そこからアシストやゴールを生み出すことができました」と振り返る。だが、チームが選手権全国大会などでボールを支配し、攻め続けた中で小見は満足の行くだけの得点数を挙げることができていない。

 選手権埼玉県予選は、「一番苦しんだゲーム」武南高戦で角度のほとんどない位置から右足シュートを豪快に叩き込んで決勝点。自身もベストゲームに挙げたゲームで勝利に貢献したほか、インターハイ予選で敗れた正智深谷高との再戦では1試合4ゴールで強烈なリベンジを果たしている。だが、準決勝、決勝は無得点。全国大会も攻守に貢献度は高かったが、自身は興國高(大阪)、國學院久我山高(東京)、青森山田高(青森)との3試合で計13本のシュートを放ちながら、ゴールを破ることができなかった。

 それだけに、「自分にはまだまだ決定力が足りないと思います。 普段のシュート練習からさらにこだわりを持ち『決め切れる選手』になりたいと思います」と宣言。小林のように、コンスタントにかつ、大事な場面で決め切れるFWを目指す。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、チームトレーニングは2月から中止となっている。怪我明けの小見は将来を見据えて勉強する時間を十分に取りながら、まずコンディション回復に集中。その後は、「昨年の選手権などの課題として出た、自分の決定力の低さを改善するためにシュート練習を中心にトレーニングしています。体感トレーニングなども欠かさず取り組んでいます」。MF須藤直輝(3年)やMF小川優介(3年)ら全国トップレベルの配球役が作り出すチャンスを、よりゴールに結びつけるための努力を続けている。
 
 この一年の目標について、小見は「とことん得点にこだわっていきたいと思います。自分の周りはとてもレベルが高く、自分のところにチャンスは必ず来ると思うので、そういったところを一つ一つ確実に仕留められるようにしたいと思います」と掲げた。自分が決めることによって、チームの目標である「日本一」に近づくことは十分に理解している。

 選手権全国大会で無得点に終わった悔しさは、決して忘れない。「今年こそは全国で爆発するためにも、まずは埼玉を勝ち抜けるように、しっかりと地に足を着けて一戦一戦戦っていきたいと思います」。いつ開幕するのか分からない中での不安な日々。それでも「同じポシションとして負けたくない」という“ライバル”FW津久井匠海(横浜FMユース、埼玉県出身)ら他のFW以上の準備をして、開幕後はどんな試合でも決め切って昌平を白星へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2020

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