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[蹴活生ガイド2020(関西)]苦しい時期に踏ん張り、工夫した京都産業大FW堤原翼。得点量産し、再び全国へ

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FW堤原翼は得点を量産し、京都産業大にとって初のインカレ出場を目指す

 高校時代は華やかな活躍をしていた選手であっても、全国から猛者が集まる大学の舞台で活躍するのは簡単ではない。初めて味わう挫折に心を折られる選手も少なくない。京都橘高(京都)時代にFW岩崎悠人(現湘南)と2トップを組み、全国大会に何度も出場した京都産業大FW堤原翼(4年)も、入学した当初は壁に苦しんだ一人だ。高卒でプロの世界に進んだ岩崎に負けじと、大学での活躍を誓ったものの、現実はそう甘くなかった。

 1年目からAチームのメンバーに食い込んだが、出場機会はごくわずか。高校時代からのチームメートであるGK西川駿一郎はいたものの、Bチームにいる他の同級生とは練習時間が違うため、思い通りに距離を縮めることすらできなかった。

 当時について堤原は、こう振り返る。「1年生の中で中心になるつもりだったけど、コミュニケーションすら取れない。プレーの大変さもあったけど、孤独さをずっと感じて、気持ち的にしんどかった」。2年目は、2月に右足の内側側副靭帯を断裂し、前期リーグを棒に振った。9月に実戦復帰してからは、Bチームでのアピールに励み、飛躍の瞬間を待ち続けた。堤原は「今になって思うと苦しい時に踏ん張れたのが良かったと思う」と振り返る。

 転機となったのは、プロに行くために重要な一年と位置付けた昨シーズンのプレーだ。高校時代の活躍により知名度はあるが、大学での実績はない。相手の警戒網が敷かれていなかった前期は持ち味である裏への飛び出しが思い通りに機能し、7ゴールをマーク。一時は得点ランキングのトップに立ったが、活躍に伴い、“堤原対策”に力を入れるチームが増えた。

 執拗なマンマークを強引に剥がしても、背後を警戒する2人目のDFに行く手を阻まれる。後期はわずか2ゴールに終わり、「何もやらせてもらえず、かなり落ち込んだ。どれだけマークが厳しくても、活躍できるかが課題だと分かった」が、思い通りのプレーができない中でもいかに点を獲るか工夫するようになったのは無駄ではない。また、これまでの3年間で勝負に拘る先輩たちに練習から揉まれる中で、負けん気の強さが身に付いたのも収穫だ。

 関西選抜に選ばれた今年は、10番とキャプテンの大役を授かった。名実ともにチームの顔として活躍が期待されるが、意識するのは自然体でのプレーで、役割は大きく変わらない。「どうするのが良いキャプテンかは分からないし、人それぞれ違うとも思う。自分は最後に周りから『良いキャプテンだったな』と言われれば良い。自分ができるのは得点を獲ることだけ。チームを引っ張るというより、頑張っている背中を見せていきたい」。

 意気込み通り、堤原が得点を量産できれば、チーム史上初となるインカレへの出場も見えてくる。「高校時代は全国大会をたくさん経験できたけど、大学ではまだ一度も出られていない。もう一度、あの舞台に立ち、自分がどれだけできるか試したい」と晴れ舞台への帰還を誓う。

※この連載は、各チーム承諾の上、「蹴活生」たちに電話取材しています。

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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