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MF野見山楽斗主将は躍進・飯塚が重視する戦術眼と技術力を表現。そして「勝負を自分が決める」

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躍進した飯塚高の大黒柱、MF野見山楽斗主将は注目のボランチだ

[2020シーズンへ向けて](※飯塚高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 準々決勝で優勝校の大津高(熊本)に惜敗した九州新人大会(U-17大会、2月)後、飯塚高(福岡)の中辻喜敬監督は背番号15の主将について、「全然やれていた」と評価していた。運ぶ力とポゼッション力を見せていた長身CB川前陽斗(3年)や高速FW赤嶺泰地(3年)に注目が集まる中、MF野見山楽斗主将(3年)も創部初の九州大会で質の高いプレー。確かな戦術眼と「止める・運ぶ・蹴る・奪う」の技術力、判断力、インテリジェンス……中辻監督が「戦術とテクニックは切り離せない」と語る飯塚において、主将はその重視されるモノをピッチで最も表現している。

 この時期に高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグで戦う大津の強さを体感したことは野見山にとっても大きかったようだ。「自分に何が足りていないのかを考えさせられ、もっと、細部にこだわって練習していかなくてはいけないと思いました。負けて得るものが沢山ありました」とコメント。「今後のサッカー人生で活躍していくため」のターニングポイントとなる一戦となった。

 野見山は同校初のJリーガー、FW村越凱光(現松本)を輩出したばかりの新興勢力・飯塚で下級生時から主軸。この一年を通して、「ミーティング等で戦術を理解し、自分のアイディアを各場面で必要に応じて発揮できるようになりました。特に成長を感じることは、サッカーインテリジェンスが高まったこと、認知・選択・実行の判断のスピードが上がったことです。この2つはかなり成長していると思います」と実感している。ただし、彼が掲げているのは「試合の勝負を自分が決める」こと、「1試合で1ゴール2アシスト」することだ。それを実行できれば、もっとチームの勝利に貢献できたと考えている。

「この1年は勝負の年」と位置づけている。新型コロナウィルス感染拡大による休校期間だが、大津戦を経験し、自分の現在地を知った野見山は「この自粛期間は自分を大きく成長させるチャンスだと前向きに捉えることにしています」。どの選手にも当たり負けしないフィジカルを手に入れること、またフィジカルベースを上げるためのランニングや筋力トレーニングに取り組んでいる。

 野見山は何よりも「全国の医療従事者の方々に感謝の気持ちとエールを伝えたい。感染拡大の防止、医療崩壊を防ぐために今の僕にできることは、自粛する事です」という。その上で、“3密”を避けての自主トレーニング。そして、「新型コロナウィルスが落ち着き、サッカーができるようになった時には、医療従事者の方々を含む多くの人に、勇気や感動を与えるプレーをしたいと思っています!」と誓った。

 野心的な新鋭チームの中心人物は、ピッチを離れても意識が高い。インターハイが中止になり、チーム練習も休止中。モチベーションを維持することは簡単ではないはずだが、上達するための近道は“キツイから休みたい”“辛いから止めたい”という気持ちに打ち勝つことだという考えだ。「自分自身の甘さに勝つことが1番難しいことだと思います」と語る注目ボランチは医療従事者たちへの感謝を忘れず、自分自身の甘さを排除して努力を続ける。

 高校ラストイヤーの今年、プロのスカウトの前でアピールしてチャンスを掴む。そして、激戦区・福岡制覇、全国で大津のような強豪校を倒すという目標がある。今は「普段の生活を大事にして」、活動が再開された際にはチームの先頭に立ち、多くの人に勇気や感動を与えるプレーを。同時にあの大津戦からの成長をピッチで示し、必ず目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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