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インハイは全国2位と優勝。桐光学園GK北村公平は選手権も勝ち続けるGKに

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桐光学園高GK北村公平は昨年のインターハイで日本一に貢献。今年は選手権も勝ち続ける。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[2020シーズンへ向けて](※桐光学園高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 選手権に懸けている。神奈川の名門、桐光学園高は18年のインターハイで初の決勝進出、準優勝。そして、昨年のインターハイでは初の日本一に輝いた。GK北村公平(3年)は1年時から正守護神として、2年連続でインターハイを経験。18年は優勝目前からの逆転負けだったが、昨年はその悔しさを自らの好守(5試合1失点)によって晴らしている。

 1年時から見せていた勝負強さ。一方でミスによる失点があったことも確かだが、昨年のインターハイはまさにMVP級の働きだった。登録身長172cmながら、毎試合のようにチームを救うビッグセーブ。特に準決勝・京都橘高(京都)戦は「本当にコンディションが良くて、キックのところでも、セービングのところでも自分が持っているものを最大限出せましたし、(後半アディショナルタイムの)先制ゴールの起点も自分のスローからだったので、まさに自分のゲームだったと思っています」とベストゲームに挙げるパフォーマンスで1-0での勝利に貢献した。

 富山一高(富山)との決勝戦でも後半25分に至近距離からのシュートをビッグセーブ。彼の好守が後半アディショナルタイムの優勝ゴールを引き寄せた。北村は昨シーズンを振り返り、「2018シーズンよりはできることの幅が広がったと思っています。インターハイや選手権予選でのセービングに関してはかなり手応えを掴めました」と自己評価。一方で物足りなかった部分もある。

「できなかったことは、年間を通して勝ち続けることができなかったことです。(GKコーチの)峯(達也)さんからは『ゲームをコントロールできるように』と言われているんですけど、そこはなかなか出来なかったです」。県1部リーグはエースFW西川潤(現C大阪)を欠くことが多く、怪我人が増えていたこともあって2位。インターハイ全国王者として迎えた選手権神奈川県予選は、北村の奮闘及ばず、決勝で日大藤沢高に0-1で敗れている。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響によって、今年のインターハイは中止。本人も「相性が良い」と認める大会は開催されないが、シーズン開幕から結果を残し続けることが目標だ。インターハイで全国優勝、準優勝歴を持つ北村も選手権は全国での白星がない。だからこそ、狙うのは選手権での勝利、全国制覇。「今年に懸ける想いはどのチームよりも強いと思います」と力を込めた。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響で桐光学園は5月末まで休校。試合勘が保てないこと、またプリンスリーグ関東昇格のチャンスの有無など悩みがある。だが、注目GKは今できることを楽しみながら、取り組んでいるようだ。「ボールフィーリングと体力は落とさないようにトレーニングしています。ここまで時間があることもないので、リフティングチャレンジなども楽しみながらやってます!」。ストレスを溜め込むのではなく、前向きな気持ちで準備を続ける。

 全体トレーニングが再開されれば、まずは熾烈なチーム内競争が待っている。「1年からずっとひとつの椅子を争ってきたので、ライバルとして桃井のことを信頼しているし、尊敬しています」というGK桃井玲(3年)らライバルたちとのポジション争い。その中でゴールを守ることはもちろん、この1年で成長したキックを「“上手い”キックではなく、“怖い”キックを目指しているので、まだまだ成長出来るとも感じています」というようにレベルアップさせる。

 武器を持ったGKになること。目標とするGKにエデルソン(マンチェスター・シティ)を挙げる北村は、「(自分は)背が低いので、技術では負けたくないですね。彼くらい蹴れるようになりたいですし、小さい自分にとってはむしろあれくらいの武器がないといけないと思うので」とこだわる理由について説明した。身体面を言い訳にはしない。必死になって武器を身に着け、チームを勝たせる。

 1年時から2年時にかけて大きく成長を遂げた印象の守護神は、「(今年の)自分自身の目標は人間性を高めることです。人間性はどんなところに行っても通用する武器だと思うので」。常に人間性を磨くこと、向上心を持ち続けることを心がけ、選手権や残された公式戦で進化を実証する。

取材・文 吉田太郎)

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