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[蹴活生ガイド2020(関西)]プレーも向上させた気配りの姿勢。近畿大MF坪井一真は“いぶし銀”の働き”で勝利へ

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今季、近畿大の主将を務めるMF坪井一真

 今年の近畿大でキャプテンを務めるMF坪井一真(4年=C大阪U-18)は、決して派手なプレーをするタイプではない。「チームのために汗をかくのが、自分のプレースタイル。目立つより、『効いているな』と言われるのが嬉しい。評価してくれる人に評価して貰えれば良い」と語る“黒子役”のボランチだ。

 豊富な運動量を活かしてピッチを所狭しと動き回り、3列目でピンチの芽を的確に摘み取る様は、ハードワーカーという表現が当てはまるが、C大阪U-15時代は、10番を授かるドリブラータイプだったという。

 転機となったのは、U-18チームへの昇格だ。高校1年生のタイミングで、村田一弘監督(現C大阪U-23監督)にコンバートされた。最初は慣れないポジションに戸惑いもあったが、「ボールを奪って褒められていくうちに、ボランチとしての仕事が楽しくなっていった」と自らの適正に気付き、チームでの存在感が増していった。

 大学でも持ち味が評価され、早い時期から出場機会を掴んだが、本人が納得の行くプレーはできずにいた。パフォーマンスが上がったのは、3年生になってから。坪井は、変化の理由について「1、2年の頃は子どもだった。試合に出られないと『なんで出られへんねん!』と不貞腐れていたけど、3年生になってからは大人になれた」と打ち明ける。

 試合に出られなくてもスタンドから懸命に応援する4年生を見ては、「なんでこの人たちは自分が出られないのに、応援できるんだろうと思っていた」が、学年が上がるにつれてチームへの想いが強まり、先輩たちの気持ちが理解できるようになったという。

 昨年は、「周りに応援されるためには、まずは自分が応援しないといけない」と自分が出ていないIリーグの試合でも、懸命に仲間を応援しようと率先して太鼓を叩き、声を出すようになった。今では、自ら率先して校内のゴミ拾いや近隣住民への挨拶を行うようにもしているという。周りに気を配れるようになったのはプレースタイル的にも大きく、試合で気の利く動きが増えた。勝ち点が伸び悩み、自動降格圏内に沈んだ前期から一転し、後期に勝ち越せた理由は彼の成長と無関係ではない。今年に入り、関西学生選抜に選ばれたのも、昨年の働きぶりが評価されたからだろう。

 同じく、関西学生選抜に選ばれたDF山下令雄(4年=G大阪ユース)も最終学年を迎えた今年は戦力が充実しており、「良い選手が揃っているので、『今年こそやってやる!』という気持ちが強い」。松井清隆監督と前任のDF川浪龍平(現HondaFC)に推薦され、新キャプテンとなった坪井が心掛けるのは、指導者とのコミュニケーション。これまで以上に意思疎通を徹底するため、練習開始前にスタッフルームを訪れ、選手目線と監督目線の意見を話し合うようになった。

「これまで頭ごなしに言われていると思っていたけど、キャプテンになって話を聞いてみると思っていた以上に僕らのことを考えて下さっていた。期待に応えなければいけないという想いが強くなった。全国大会に出て、近大の名前を多くの人に知ってもらいたい」。目標であるプロ入りを果たすためにも、大舞台での活躍は不可欠。今年も坪井は、チームを勝たせる“いぶし銀”の働きを続けていく。

※この連載は、各チーム承諾の上、「蹴活生」たちに電話取材しています。

執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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