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昨季FC東京U-18在籍、元U-15代表の高速SB大矢ショラが興國へ転入。家族・古巣に「恩返し」のプロへ

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逸材SB大矢ショラが大阪の「育成軍団」興國高で新たな挑戦をスタート

[2020シーズンへ向けて](※興國高の協力により、電話形式で取材をさせて頂いています)

 U-15日本代表にも選出されている逸材SBが、大阪の「育成軍団」興國高で新たなスタートを切っている。昨年度、FC東京U-18に在籍していたDF大矢ショラ(2年)が、4月から興國へ転入。寮生のみの自主トレーニングに参加しながら、高体連チームでの公式戦デビューへ準備している。

 大矢はFC東京U-15深川時代の18年3月にU-15日本代表として日ASEAN U-16サッカー交流大会に出場。同年12月の全日本ユース(U-15)選手権で日本一に輝き、その後FC東京U-18へ昇格している。抜群のスピードを活かした攻撃参加に加え、CBやボランチの経験も持つ大矢は対人守備の強さも魅力。昨年は国体東京都選抜にも選出されている実力者だ。

 その大矢がなぜ、大阪への挑戦を決意したのか。それは、プロになって家族やお世話になった人たちに恩返しするためだ。彼は昨年、サッカーから離れていた時期があった。高校生になって環境が変化。大矢が「本当に良くしてくれたし、今も感謝している」と語るように、FC東京は全力でサポートしてくれたというが、以前からメンタル面での課題があった彼は、それを上手く乗り越えることができなかった。

 ただし、昨年11月から父の母国・ナイジェリアに約2か月間滞在したことで、再びサッカーへの情熱を取り戻す。目の当たりにしたのはサッカーに人生を懸けている現地の少年たちの姿。「彼らにとってサッカーは、貧困から抜け出すためのチャンス。自分が好きとか嫌いとかいう前に、『サッカーで家族を助けたい』とか『家族を幸せにしたい』とか、その思いがあって、彼らはサッカーをやっている」。生きるために本気でサッカー選手になることを目指し、羨望の眼差しでチェルシー(イングランド)などの試合中継を観ている彼ら。一緒にボールも蹴ってその情熱を体感した大矢は、自分のルーツであるナイジェリアでサッカーの原点を学び、行動に出るきっかけを得た。

「色々人のせいにしていて、このままだと後々後悔すると思って、日本に戻ってもう一回サッカーに取り組もうとなりました。親に感謝したい、恩返ししたいと思って、興國に行きました」

 内野智章監督の著書を読んでいたこともあり、Jリーガーを立て続けに輩出している「育成軍団」興國の存在は以前から知っていた。一からスタートするために新たな環境を探していた大矢は、知人の紹介もあって他の高体連やJクラブユースにはない考え方や取り組みをしている興國で挑戦することを決断した。興國は今年もFW樺山諒乃介(3年)、CB平井駿助(3年)、GK田川知樹(3年)の3人が横浜FMへ加入内定し、またFW杉浦力斗(3年)も金沢入りが内定しているように、プロになるチャンスが多くあることが最大の理由。3月、強い意志を持って知り合いもいない大阪へ移り、新生活をスタートした。

 興國に合流したものの、新型コロナウィルス感染症による非常事態宣言が出たこともあり、チーム練習が休止に。学校は休校中で、トレーニング自体は自主練習に限られているが、それでも必ず将来活きてくると信じて興國独自のコーディネーショントレーニングなどに取り組んでいる。「上半身の動きが前まで使えていなかった。そこを使えるようになったらドリブルとかもしなやかになってきたし、調子もめちゃくちゃ上がってきた」と大矢。寮生にはMF湯谷杏吏(3年)やMF武本射雅(2年)ら実力者がいるため自主練の質も高く、先輩CB平井に1対1での間合いの詰め方などを教えてもらっている。

 まだまだ大阪弁は未習得。「結構難しいですね」と笑うが、心身ともに「良い時の自分になってきている」と手応えを口にする。内野監督はその大矢について、「非常事態宣言前のトレーニングや自主トレを見ててもそうですし、FC東京(U-18)の中村(忠)監督もおっしゃってましたが、スピードやインターセプトの能力がやはり凄まじいので『こらプロなるな!』ってすぐ思いました」と絶賛する。
 
 そして、「今はセルフトレーニングで必死に興國メソッドトレーニングをこなしています。マスターすれば元々ある身体能力にテクニックと身体操作能力が身につくので、後はメンタルが成長すれば凄いSBになると思います!」と期待した。

 規定により、高体連主催の大会は10月まで出場することができないが、プリンスリーグ関西の出場は可能な模様。大矢は今年からトップチームの公式戦に出場していくことを宣言し、「日本人ができないようなプレーをしないと自分としての価値は見いだせないと思うから、そういうところを発揮していきたい。攻撃が好きなので、攻撃で点を獲れる選手になりたいです。興國の攻撃的なスタイルに自分がハマってどういうプレーをするか見てもらいたい」と力を込めた。

 FC東京U-18時代のチームメートとの連絡は続いている。「オマエらしい」「自分の道を行けば良いんじゃない」と背中を押してくれた仲間、コーチ、そして家族に躍動する姿を見せること。特に首都圏開催の選手権はターゲットだ。プロ入りの可能性を広げるためにも、まずは高校サッカーで「主役になる」。

(取材・文 吉田太郎)

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