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ブンデスリーガ、2019-20シーズンがついに再開!今後の見どころ、優勝争いはどうなる?

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ブンデスリーガが今週末から再開する

 2019-20シーズンのブンデスリーガは例年とは異なる序盤戦となった。

 7連覇中の王者バイエルン、そして王座奪還を目指してユリアン・ブラントやトルガン・アザールら国内の有力選手を獲得したドルトムントが、タイトルレースを牽引できず。

 バイエルンは最終ラインにニクラス・ジューレ、リュカ・エルナンデスといった負傷者が続出したこともあり、失点の多さに悩まされる。そして、とどめとなったのは第10節フランクフルト戦。ニコ・コバチ監督率いるチームは古巣相手に1-5の大敗を喫し、2シーズン目にして解任の憂き目に遭った。

 また、ドルトムントも第3節で昇格組のウニオン・ベルリンに初黒星を喫すると、その後も波に乗り切れず。5試合で4引き分けという停滞期もあり、リュシアン・ファーブル監督には強烈な逆風が吹いていた。

 そんな前半戦において、彼らにとって代わって主役へと躍り出たのが、若手選手たちが主力を担うボルシアMGライプツィヒ。戦力的にはバイエルンやドルトムントに及ばないものの、それぞれ1年目の両監督が巧みな手綱さばきを発揮した。

 ボルシアMGのマルコ・ローゼ監督はザルツブルクから引き抜かれる形で、ブンデスリーガ初挑戦となったが、その手腕は見事なもの。レッドブルグループ特有の激しいプレスと縦に速い攻撃をボルシアMGに持ち込み、序盤戦では首位を快走した。マルキュス・テュラムやブレール・エンボロ、アルザーヌ・プレアといったスピードある選手たちがゴール前へと押し寄せるスタイルは見ていても爽快で、ドイツに新風を吹かせた。また、ヤン・ゾマーを中心とした堅守も躍進の理由で、バイエルン戦でヨシュア・キミッヒのシュートをライン上で止めたシーンは今季のベストセーブのひとつだ。

 他方、ライプツィヒにはドイツ屈指の若手指揮官ユリアン・ナーゲルスマン監督が今季から就任。ホッフェンハイムよりもいくらか高クオリティの人員を有効活用できている。ライプツィヒのカラーとして定着していたプレッシングは残しつつ、ポゼッションの改善にも着手。両方のスタイルを併せ持つハイブリッド型としてチームにさらなる幅をもたらした。前半戦の「ヘルプストマイスター(秋の王者)」という結果は、試合を追っていれば、何も不思議な結果ではない。

 また、ナーゲルスマンの指揮により、選手たちも新たな才能を開花させた。エースのティモ・ベルナーはさらなる得点力を身に着け、前半戦で18ゴールをマーク。パンチ力が売りのマルセル・ザビッツァーはより多くのタスクを担うように。攻撃力はそのままにチャンスメーカーとしても働きながら、守備的な役割もこなすなど、選手として何段階かステージを上げた印象だ。パトリック・シックやクリストファー・エンクンクといった新戦力も欠かせない戦力として難なく融合させ、ナーゲルスマンによるポジティブな効果は、挙げれば枚挙にいとまがない。

 前半戦でコバチの更迭を決断したバイエルンは、アシスタントコーチであったハンジ・フリックを暫定監督に。すると、みるみると息を吹き返し始める。就任から4日後にはUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)、その3日後にはドルトムントという厳しい日程だったが、難なく連勝。ドルトムント相手には4-0と快勝を収め、新生バイエルンを強く印象づけた。

 結局、フリック監督体制となってから、シーズンが中断されるまでバイエルンが敗れたのは2試合のみ。途中には驚異の11連勝も挟み、見事“定位置”である順位表の一番上に戻ってきた。

 好調の背景にあるのはコバチ指揮下では失われていた監督の求心力。国内で屈指のスター選手たちがフリックのために懸命に戦ったという単純な事実が結果につながった。4月にはフリック監督が正監督として2023年までの新契約を結び、トーマス・ミュラーやマヌエル・ノイアーといった主力選手が口々に喜びを語ったことからもわかる通り、今や指揮官への信頼は絶大なものとなっている。

 また、ドルトムントも新戦力が噛み合い、徐々に復調。2020年最初の3試合ではいずれも5ゴールと、攻撃陣が爆発している。その中心にいるのはやはりアーリング・ハーランドだろう。

 ホーランドは今冬にザルツブルクから加入すると、すぐにフィットしてゴールを量産。国内では8試合で9ゴールと荒稼ぎし、早くもステップアップの噂さえ流れる。ジェイドン・サンチョ、ジョバンニ・レイナといった新世代の攻撃ユニットはブンデスリーガ後半戦の目玉になる可能性もあるだろう。ここに離脱中のマルコ・ロイスも戻ってくれば、選手層の面でもスキのないスカッドとなるはずだ。

 もちろん、優勝争いは見逃せない。首位バイエルンとドルトムントの勝ち点差は「4」。直接対決も残っているため、叩くことができれば、逆転は可能だ。また、2位ドルトムントから5位レバークーゼンまで5ポイント差であり、上位陣はひしめき合う。来季の欧州CL出場権争いという側面から見ても、熾烈なものとなっている。

 追う立場であるドルトムントから見て不安な点があるとすれば、無観客試合という条件。新型コロナウイルスの影響を受け、致し方ない措置ではあるものの、「黄色い壁」と称される本拠地を持つドルトムントにとっては大きなサポートを失うこととなる。バイエルンとの直接対決もホームのジグナル・イドゥナ・パルクで行われるだけに、地の利を活かしづらい状況となったのは不運としか言いようがない。

 だが、ホーランドという稀代のストライカーを擁して初めて迎える“デア・クラシカー”だけに、ドルトムントへの期待は高まるばかりだ。強豪クラブ相手にも結果を残せることは欧州CLですでに証明済みであり、静かな本拠地でおなじみの瞑想パフォーマンスも見られるかもしれない。

 また、バイエルンを5ポイント差で追うライプツィヒの地力の強さも確かなもの。リーグ戦でバイエルンとの2試合はいずれもドローに終わり、王者との実力差はない。欧州CLでもクラブ史上初のベスト8進出を果たし、夏頃まではモチベーションを高く保つ必要があることもプラスに働くはずだ。

●ブンデスリーガ2019-20特集
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