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評価うなぎ上りの冨安健洋、その価値とは? イタリアで残してきた圧巻のスタッツが証明

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ボローニャDF冨安健洋

 今季に日本人選手として11人目となるセリエAデビューを果たした日本代表DF冨安健洋は、ボローニャで確かな存在感を示し続け、現在ビッククラブからの関心が取りざたされるほど注目を浴びている。欧州での評価を急激に高めている21歳DFに関し、『Opta』のデータを基にパフォーマンスを検証し、その価値を紐解く。

 日本代表及び、オリンピック代表にも名を連ねる冨安。東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大の影響で来年以降の開催となってしまったが、主に23歳以下の選手が出場する同大会で冨安がプレーしていたら、欧州ビッグクラブからの視線を集めていたかもしれない。

 いつの時代も、将来性がある若手は引く手あまただ。現在セリエAでプレーする東京五輪世代(1997年1月1日生まれ以降)のディフェンダーで特筆すべき成績を残している冨安に多くの関心が寄せられるのは、至極当然のことなのである。

●冨安健洋の今季セリエA成績
(項目、数値、DFランクの順)
インターセプト 36 リーグ2位※23歳以下
デュエル 213 リーグ2位※23歳以下
敵陣パス 614 リーグ2位※23歳以下
ドリブル成功率 60.5% リーグ4位
ファイナルサードパス 171 リーグ3位

 冨安は今季のセリエAで20試合に先発出場。同数以上出場しているディフェンダー登録の選手の中ではリーグ最年少となっている。ボローニャ史上でも、21歳以下のDFで最後にシーズン20試合以上に先発したのは、2015-2016シーズンのアマドゥ・ディアワラ以来となる。

 日本人としては長身の部類に属する冨安だが、データからは「読む」点に長けていることがうかがえる。その一例として、今季のインターセプト数は23歳以下のリーグ内DFの中で2番目に多い36回を記録。的確なポジショニングから相手のパスコースを読み、スペースを空けて誘い出し、パスが出された瞬間に奪い取る。冨安の真骨頂と言っていいだろう。

 一方で冨安は球際でも強さを見せている。デュエル数は同DFの中で、ミランのテオ・エルナンデスに次ぐリーグ2位の213回。空中戦での競り合い、一対一、ボールホルダーへのプレッシングとタックル…。冨安は守備面で素晴らしいパフォーマンスを発揮し続けているのである。

■新たな一面
 だが、冨安の魅力は守備面だけにとどまらない。シニシャ・ミハイロビッチ率いるチームはビルドアップと攻撃面でも冨安のパフォーマンスの恩恵を受けている。ドリブルという一面で新鮮さを提供している冨安だが、その成功率は60.5%(23/38)という高い数字。これは、今季35回以上のドリブルを記録しているディフェンダーの中でリーグ4位の記録である。

 また、オフェンス意識の高さはパスデータからも読み取れる。敵陣パス数(614)も23歳以下のDFの中でリーグ2位。さらに、敵陣内ファイナルサードへのパス数では、リーグ全体のDFの中でも3位となる171本をマークしている。アシスト「2」という数字だけでは読み取れない、多大な貢献を果たしていると言えるだろう。

■高まる市場価値
 今季のセリエAでは開幕から7試合連続フル出場した冨安だが、代表戦での負傷により5試合で欠場。それでも、負傷明けで唯一途中交代した第13節以降、リーグ戦中断前までの14試合のうち、欠場したのは累積警告で欠場した1試合のみとなっている。

「彼を売るつもりはない。なぜなら支払われる額が彼のような最高の選手に見合ったものではないからだ。現段階で、トミヤスや彼の将来を完璧に査定できる人間はどこにもいない」

 ボローニャのテクニカル・ディレクターを務めるワルテル・サバティーニ氏はそのように語っており、2024年6月までの契約を交わす冨安を安売りすることを断固拒否する構えだ。それもそのはず。イタリア大手メディア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』も、ボローニャで不動の地位を築きつつある冨安については、イタリア代表FWリッカルド・オルソリーニとともに「ロッソブルー(赤青の意味でボローニャの愛称)のコレクションの中で貴重な2ピース。現在2人の価値は合わせて6000万ユーロだが、今後に跳ね上がる可能性がある」と評価しているのだ。

 イタリアでその価値を確実に証明している冨安は今後、どこまで上り詰めるのか。その期待は膨らむばかりである。

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