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国体、選手権で優勝し、U-17代表初選出。静岡学園の2年生MF清水和馬は「注目度に自分の実力を追いつかせる」

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静岡学園高の2年生MF清水和馬は代表定着、将来へ向けて重要な一年に

[2020シーズンへ向けて](※静岡学園高の協力により、電話取材をさせて頂いています)

 初の年代別日本代表選出、活躍が目線を引き上げている。静岡学園高のMF清水和馬(2年)は今年2月末にU-17日本代表へ初招集され、「JENESYS2019 青少年サッカー交流大会」(鹿児島)に出場した。U-17マレーシア代表とのグループステージ最終節で決勝点をアシストし、U-19東ティモール代表との決勝でも先発出場して優勝に貢献。チームではしばらくプレーしていないSBでの起用だったが、U-17日本代表の力となり、アピールに成功した。

 当初は「(久々で)マジか…」という思いもあったというSBだが、船越優蔵監督らU-17日本代表コーチ陣から受けた守備時の立ち位置などのアドバイスを自分の中でしっかりと落とし込むことができた。身体能力の高い選手もいた海外選手を封じ、攻撃時には静岡学園仕込みのテクニックをシンプルに発揮。味方選手を活用しながら自分も活かしてもらい、コンビネーションからの縦突破、そして最大の持ち味である正確なキックでチャンスメークした。

 中盤、前線、そしてSBでも力を発揮する万能型の清水は、昨年度の国体少年男子の部と全国高校選手権で日本一を経験。だが、静岡学園では夏明けに先発のチャンスを得たものの、守備で苦戦してモノにすることができなかった。また、選手権全国大会は1試合、9分間の出場のみで、2試合先発した国体も満足の行く内容だった訳ではない。

 その中で参加したU-17日本代表合宿には同じ1年生ながら選手権で大活躍したMF松木玖生(青森山田高)やMF豊田晃大(名古屋U-18)をはじめ、実績では清水以上の選手たちの名。それでも、「自分が思っていたよりもやれた印象」だったという鹿児島での日々が現在、自分自身により多くを期待させ、高いレベルの活躍を求めさせている。

「チームに帰って足りないところを伸ばして、公式戦で結果を出せばまた(年代別日本代表に)呼ばれるんじゃないかと思いつつ、またレベルアップしていければいいと思っています。一応、国体と選手権取って、代表も呼ばれて注目度は上がっていると思うので、その注目度に自分の実力を追いつかせることが今年の目標だと思います」

 周囲から認められる存在になるためには、まず「技術が自分よりも全然上の選手がいますし、スピードが上の選手もいる」という静岡学園での激しいポジション争いを勝ち抜かなければならない。静岡学園は代表選手でも簡単に先発落ちするような環境。練習から誰もが納得するようなレベルのプレーをしなけれなならない。清水は練習場で自分をより引き上げ、試合で注目選手に相応しい結果を残していく意気込みだ。

 静岡学園中時代は岡島弘高監督の助言もあり、各選手が毎日自主練習をする環境。その中でボールを蹴り続けていたことで上達したキックは、清水が最も自信を持つ武器となっている。2月の県新人戦ではセットプレーでのキッカーを務めていたが、そのFKを直接決めたり、プレースキックでアシストすること。また、ミドルシュートでのゴールやクロスで味方の得点を演出することを目指していく。

 新型コロナウイルスによる休校期間中は、元清水FWの父・龍蔵さん(清水市立商高で選手権、高円宮杯優勝)や、静岡学園高で主将を務めた兄・MF清水綾馬(現専修大)とボールを蹴ったり、体幹トレーニング、砂浜でのランニングなどを行ってきた。また、判断スピードの向上に課題を持って取り組んでいる。「(自分は)小柄なので(ラヒーム・)スターリング選手たちのように、静学で培ったテクニックを活かせる選手になれればと思っています」と清水。大舞台で通用、活躍する選手になって代表、プロにもアピールする。

 新生・静岡学園は清水の他にも注目の素材、CB伊東進之輔やGK生嶋健太郎、FW松永颯汰ら面白い2年生がいる。目標は3年生同様、選手権連覇だ。ライバル校からターゲットにされる一年だが、フルパワーで向かってくる対戦相手との戦いが個々の成長を加速させることは確か。日本一となった卒業生たちが残してくれた好環境を活かして進化し、個人、チームの目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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