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先輩たちから託された日本一。矢板中央DF坂本は「頼れるキャプテン」になって悲願達成へ

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矢板中央高の新主将・DF坂本龍汰。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[2020シーズンへ向けて](※矢板中央高の協力により、電話取材をさせて頂いています)
 
 新たな歴史を築く世代のリーダーとなる。矢板中央高(栃木)は今年1月の全国高校選手権で3度目の3位に。準決勝で静岡学園高に0-1で敗れた後、新主将のDF坂本龍汰(3年)は前主将のDF長江皓亮(現東海大)から「日本一を取らないと何も残らない。3位じゃまだ足りない。インハイや選手権で日本一を取って、(周囲を)見返してくれ」と託されたという。

 昨年の矢板中央はプリンスリーグ関東で大苦戦。前年度の優勝から最下位へ転落した。だが、周囲からの低評価をバネに栃木3冠を達成。選手権全国大会では気迫を感じさせる戦いぶりで前年度の8強を超える3位に入った。それでも日本一を目標としていた先輩たちは、悔しさを抱いたまま卒業。昨年からのレギュラーである坂本はその意志を受け継ぎ、同じく新チームのリーダー格であるFW多田圭佑(3年)やMF新倉礼偉(3年)とともに矢板中央の歴史を変えるためのスタートを切っている。

 まずは行動やプレーでチームを引っ張ることを心がけている。1年時も学年キャプテンを務めている坂本だが、当時は自分のことだけで精一杯になってしまい、関東ルーキーリーグは2部降格。でも、現在は「『自分が、自分が』じゃなくて、周りを意識して、周りの力を引き出せるようなキャプテンになりたいなと思います」と意識して取り組んでいる。

 昨年の主将・長江は、それまでのサッカー人生で主将の経験がなかった選手。それでも、悩みながらリーダーとして成長を遂げてチームを勝利へ導き、日本高校選抜のキャプテンマークも巻いた。坂本は「実際に最初、(長江に)キャプテンらしさはあまり感じられなかったんですけれども、プリンスリーグの途中から本当に鼓舞してくれて、(隣のポジションで)自分のカバーもしてくれて、頼れるキャプテンになったのを身近で見ている。自分もそういう頼れるキャプテンにならないといけない」と意気込んでいる。

 プレーヤーとしても堅守・矢板中央を引っ張る。元々CBで、ボランチでのプレーも可能な坂本だが、昨年は右SBとして台頭。特別な身体能力を持っている訳ではないものの、「守備という部分で誰にも負けたらいけないと思っている」と語る主将は1対1、デュエルの部分で相手アタッカーを封じ、鉄壁の守りを表現している。

 また、金子文三コーチは「矢板中央のDFラインは強固な守備が売りの中で、彼の本当の良さは攻撃にあります。目立ったスピードやパワーはないですが、正確なクロスや縦パスを供給できますし、選手権でもチャンスを作り出してくれました。アーリークロスを上げる時であっても、ギリギリまで判断を変えられる技術もあるので、相手DFの背後に抜ける選手たちも動き出せばボールが出ると感じやすい持ち方をしています」とその攻撃性能の高さも評価する。自主練習が再開された現在、本人は将来を見据えて攻撃面を強化中。そして、堅守・矢板中央の中心人物として何よりも守備を大事にし、全国のどこにも負けない守備力をチームに植え付ける考えだ。

 坂本の憧れの選手はプルミエール徳島(徳島)時代の先輩で、磐田U-18(静岡)の主将も務めたCB平松航(現立正大)だ。「あの人を真似てやってきたような感じです」。ボールの持ち方、守備の対応など目指す姿としてサッカーを続けてきた。四国で注目選手だった坂本は高校進学時、関東のJクラブユースのセレクションで落選。関東でその悔しさを晴らすとという思いと、矢板中央OBのCB星キョーワァン(現横浜FC)の影響を受けて栃木の強豪校へ進学した。平松や星のような高さは無いものの、攻守における巧さなどを磨き、自分も上のステージで活躍する選手を目指す。

 今は矢板中央が日本一を獲得するために、チームを盛り上げ、できることを積み重ねていくだけだ。「インターハイがなくなったということでモチベーションが上がらない選手もいると思うんですけれども、キャプテンである自分が発信していって、プリンスリーグで上位を目指して、最後の選手権は日本一ということをずっと考えて一日一日を大事にしていきたいです」。高橋健二監督もリーダーシップなどに期待を寄せる新主将はチームを成長させ、今冬、先輩たちから託された悲願の日本一を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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