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[J内定者の声]二度フラれた磐田から内定…法政大DF森岡陸「ジュビロ愛ですぐ決めちゃいました」

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明るいキャラクターが何よりの売りだ

 サックスブルーのユニフォーム以外に袖を通す自分を想像できなかった。法政大のDF森岡陸が来季より、ジュビロ磐田に帰還する。

「他のクラブも話を頂いていたんですけど、ジュビロからオファーが来たときはすぐに決めちゃいました。実は大学進学後は(磐田の)練習参加を一度もしていません。地元愛、ジュビロ愛ですね。でもプレッシャーはかなりあります。地元の友達は磐田を応援してくれている人が多い。すでに『ユニフォーム買うよ』と言ってくれている。だから早く試合に出ないといけないですね」

 “片思い”が成就した。幼少期に岡山県から静岡県磐田市の「ヤマハスタジアムまで歩いて5分。ゴールが決まったアナウンスとか、応援の声が家まで届く距離」に引っ越してきた。それからは平日を磐田のジュニアチーム、週末をテンマサッカークラブでと、2クラブを掛け持ちするサッカー漬けの生活を送った。

 ただ“一度目の失恋”が中学に上がる時にやってくる。「強化」にあたる磐田U-15には上がれず、「準強化」のジュビロSS磐田に回された。さらにその先でサッカーを続けるにあたりユースに上げられるという可能性はほぼないため、高校は静岡学園高でサッカーを続るつもりでいた。

 しかし運命を変えた試合があった。中学3年生の11月に行われた高円宮杯第25回全日本ユース(U-15)サッカー選手権東海大会。決勝まで勝ち上がったジュビロSS磐田は、磐田U-15を撃破。下克上を成し遂げると、SSからのユースへの昇格はほぼないと言われる中で、唯一評価を勝ち取ってみせた。

磐田ユースでは1年生から出場機会を得た

「言っちゃえば奇跡。ジュニアユースからの昇格も難しいのに、狭き門ですよ、本当に。ジュニアユースを落ちてるんですよ、僕。そこからユースではキャプテンもやらせてもらう訳ですから、分からないもんですね」

 ユース昇格後にはすぐに頭角を現し、世代別代表も経験。16年にはトップチームに2種登録。トップチームの練習にも参加し、昇格が有力視され始めた。自覚もあったというトップ昇格。しかし期待とは裏腹に、吉報が届くことはなかった。

静岡県選抜の一員として国体に出場

 ただ、二度の失恋が森岡の心を強くした。そして今では「当時は実力不足だった」と納得して振り返ることができる。「2回も挫折しましたけど、両方とも自分の実力不足。『回り道じゃなかったね』とみんなに言ってもらえます」。

 法政大での生活では人間力を磨くことができた。特にチームメイトに恵まれたと振り返る。「いい同期、先輩に恵まれた」。中でも上田綺世(鹿島)というスーパーな存在。寮も同部屋だった同級生からは出会った時から刺激を受け続けている。

「一番最初の練習でやばいと思いました。正直、それまで見た中で一番の衝撃でした。一瞬のスピードやジャンプ力といった身体能力が普通の人と違う。ヘディングが強いとか言われているレベルではない。普通の凄いより凄い。今でも綺世以上の身体能力を持つ選手はいないんじゃないかと思っています」

昨年の天皇杯・G大阪戦ではCKからヘディングでゴールを決めた

 ただプロはそんな上田でさえも壁にぶち当たっている世界。今はそこで勝負していくための課題の克服に取り組んでいる。肉体面では上半身の筋力強化に取り組み、プロで戦う体づくりに励んでいる。そして精神的には「試合前とか緊張してオドオドしちゃうし、いろいろ考えちゃうと夜も眠れなくなっちゃうくらいネガティブ」だという性格を改善すべく、本をたくさん読むようにしているという。

「だけど僕は普通のDFじゃないと思っています。ボールの取り方が独特というか、体を当てないでボールを奪うことができる。それは自分だけの感覚。それと試合前は緊張するけど、いざ試合に入るとスイッチが入るというか、相手の嫌がるのを見ているのが楽しい。でも大学まではそれで行けたけど、プロはプラスアルファでやらないといけないと分かっています。もっと上の選手とやるために、シーズンを通して戦えるような屈強な選手になりたいと思います」

 次回は横浜FCに内定したDF高木友也(法政大)を予定。

※学校の協力により、電話形式で取材をさせて頂きました
(取材・文 児玉幸洋)

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