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小学生が動画でJクラブ入りへ。大宮、U15で動画セレクション開催

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昨年、大宮アルディージャU15は高円宮杯で全国3位に。(写真提供:大宮アルディージャ)

 大宮アルディージャが、来季のU15チーム編成に向けて、現小学6年生を対象とする動画セレクションを開催する。募集期間は、6月1~30日の1か月。従来、U15(中学生年代)チームは、小学生の大会などを視察したスカウト担当者が勧誘するほか、練習参加、実技セレクションなどで加入選手が決まる。しかし、今年は新型コロナウイルスのまん延により、大会の中止が相次いでおり、選手側はアピールの場を失っている。今回の動画セレクションを担当する大宮の育成部U12コーチ(現U10担当)兼スカウトの橋本早十さんは「元々、実技セレクションの一発勝負では評価しにくいところもあるので、ほかにも選手側がアピールできる場を作れないだろうかと動画を使うアイディアを練っていました。今回は、新型コロナウイルスまん延による影響で、すぐには通常のセレクションを行いにくい状況であることも考慮し、実施することにしました。うまく生かせれば、今後もセレクションの一部として続けることも検討したいと考えています」と新たな試みの経緯を話した。すでにプロの世界では、プロモーション用の動画などは選手を売り込む際の情報の一つとして多くの場で使われており、今後、日本の育成年代でも活用されるケースは増えていく可能性があり、4月には湘南ベルマーレもオンラインスカウト活動を行っている。

 大宮U15の動画セレクションは、クラブが課す複数のお題に挑戦する形になっている。フィールドプレーヤーは、指定されたマーカー間ドリブルや身体10か所を使う制限付きリフティングなど。GKは、背面ボールキャッチや両手ドリブルなどのテーマが課されている。また、反復横跳びや垂直跳び、縄跳びなどポジションに関係なく共通するテーマも設定されている。過去の試合(対象は19年9月以降)の好プレー動画を添えることも可能だ。すべてのお題は、大宮のU12でプレーする選手がデモンストレーションを行った動画付きで説明されており、合格ラインの参考となりそうだ。動画セレクションの合否は7月17日までに知らされ、通過者は2次セレクション(詳細未定)に進むことができる。

 対象者の要綱として、合格した場合に2021年度からU15加入の意思が強くあることや、指定会場での練習参加に支障がないことが含まれているため、実質的には埼玉県内(あるいは県境)の小学生が中心となるが「試合がないから見てもらえない」と肩を落としていた選手にとっては、チャンスだ。募集期間が長いため「上手くできるまで撮り直す」という方法も可能になるが、橋本コーチは「最後の方に駆け込みで送ってくる選手が多いかもしれないとは思いますが、繰り返して練習することで上手くなってもらえば良いと思います。動画がすべてではないし、動画でダメでも将来の可能性はある。ただ、子どもがアピールの場を失っている状況下、チャレンジする気持ちを大切にしたいと思っています」と、選手の素養を判断する一つの材料に過ぎないとの見方を強調した。

 セレクションの詳細は、以下の大宮アルディージャ公式サイト内ニュース記事から確認できる。
https://www.ardija.co.jp/news/detail/16510.html



(取材・文 平野貴也)

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