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東福岡の新主将MF上田瑞季、「あんなに悔しかったゲームは初めて」の敗戦から日本一へ

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東福岡高の新主将、MF上田瑞季

[2020シーズンへ向けて](※東福岡高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 強い責任感を持って雪辱、目標達成への準備を進めている。“赤い彗星”こと東福岡高の新主将、MF上田瑞季(3年)が最も印象に残っている試合として挙げるのは、昨年度の選手権福岡県予選決勝戦(対筑陽学園高)だ。

 上田は、7連覇の懸かった東福岡のトップ下として先発フル出場。だが、チームは筑陽学園の堅い守りの前になかなかシュートまで持ち込むことができず、0-1で敗れた。シュート数はわずか2本。同級生や先輩たちの大応援、勝たなければいけないというプレッシャーの中、上田は個人としても懸ける思いを持って決戦に臨んだが、全国切符を掴むことができなかった。

「負けてしまい、先輩たちには本当に申し訳ない気持ちになりました。情けなかったし、あんなに悔しかったゲームは初めてでした」

 15年度の全国2冠、97年度の全国3冠、選手権連覇、インターハイ連覇など、輝かしい実績を持つ東福岡への進学を早くから意識していた。「このチームならば日本一を獲れる」。その思いを持って熊本から進学。まず1年生チームの中心となり、2年目には300人もの部員の中で先発を奪取した。

 そして、この1年はボールを受けて展開する部分や、チームのために戦うこと、勝利への執念を試合で表現できるようになった。また、上田は「中学の頃からパス&コントロールは嫌というほどやってきましたが、今、とても大切なことを学んでいたと思うし、武器になっている」という技術力、精度の持ち主。加えて、運動量も武器とするMFは当たり負けする回数が減ってきたことを実感している。だが、選手権予選は「もっと3年生のために走れたし、決めれるチャンスもあった」という敗戦。初めてというほどの悔しさを味わい、昨年の一年間を終えた。

 JFAアカデミー熊本宇城で同期のMF永吉飛翔(FCアラーラ鹿児島U-15→神村学園高)は昨年、インターハイで大会優秀選手に選出され、選手権にも出場した。仲間であり、チーム外で最も意識している選手だ。その永吉や他のライバルたちに置いて行かれる訳にはいかない。

 昨年課題となった1対1における守備、決定力を向上させること。チームの活動休止中に実施した体幹トレや筋トレによって、フィジカル面の強化ができてきている。今年は、同じく東福岡の牽引役で、ライバル意識を持つU-17日本代表MF青木俊輔(3年)以上に結果を出すことにこだわる意気込みだ。そして、「チームを勝たせる選手になる」。

 東福岡に進学したことで「最高の仲間たちに出会った」という上田。インターハイが中止となり、プレミアリーグもどのような形で行われるか未定だが、最高のチームメート、そして先輩たちのためにも日本一を勝ち取るという目標は全くブレない。「まずはキャプテンとして、チームをまとめ上げる」。自分が経験したような悔しい敗戦を同級生や後輩たちに経験させる訳にはいかない。青木や大型FW長野星輝(3年)、技巧派レフティーMF佐藤聡史(3年)ら個性派揃いのチームを自分がまとめ上げ、“勝負の時”までに最高の準備をして福岡タイトル、日本一を奪還する。

(取材・文 吉田太郎)

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