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約20年でトッテナムを変貌させた会長の“錬金術”

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近年の躍進が目立つトッテナム

 トッテナムのダニエル・レビ会長はビジネス面において欧州サッカーで成功した1人として広く認められている。2001年にトッテナムの会長に就任して以降、低迷していたクラブを国内とヨーロッパの両方でトップを狙えるレベルに引き上げた。

 ソフトとハードの両面で強化を図り、2018-19シーズンにはクラブ史上初のUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)決勝進出。同シーズンの終盤に新本拠地のトッテナム・ホットスパースタジアムも完成させている。

 これらの成功を導いたレビ会長の“錬金術”は、低価格で獲得した選手を高く売却することを繰り返すという経営方針によるものだ。イギリス『フットボール・ロンドン』は、レビ会長が約20年間に行ったいくつかの事例を紹介している。

 最初はマイケル・キャリック氏。2004年にウエスト・ハムから350万ポンドで加入すると、わずか2年でプレミアリーグ屈指のMFに成長し、5倍以上の1800万ポンドでマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。

 その次に挙げられた成功例はディミタル・ベルバトフ氏だ。レビ会長は2006年に1090万ポンドで元ブルガリア代表FWを獲得し、2008年夏に3075万ポンドでユナイテッドに売却して利益を得た。

 買い戻しを行ったロビー・キーン氏のような例もある。元アイルランド代表FWはトッテナムで6年間にわたって活躍し、2008年夏に1900万ポンドでリバプールに移籍。しかし新チームにフィットできず、半年後に1200万ポンドでトッテナム復帰となった。

 また、2012年夏にMFルカ・モドリッチが3000万ポンドでレアル・マドリーに移籍。2013年夏にはFWガレス・ベイルが当時サッカー史上最高額の移籍金となる8500万ポンドでモドリッチの後を追った。

 近年では、2009年夏にシェフィールド・ユナイテッドから900万ポンドで獲得したDFカイル・ウォーカーを、2017年夏に4500万ポンドでマンチェスター・シティに売却。2015年にバーンリーから350万ポンドで迎え入れたDFキーラン・トリッピアーも昨年夏、2000万ポンドでアトレティコ・マドリーに移籍した。

 そして今夏、レビ会長がエースFWハリー・ケインの売却を認める方針を固めたと報じられ、移籍金はサッカー史上最高額の2億ポンド(約270億円)と見られている。

 トッテナムの多くのファンは、こうした主力選手の売却に不満を抱いているようだ。しかし、同メディアはそれによって「クラブは現在、素晴らしい新スタジアムで最高のポジションにいることができる」と指摘している。

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