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兄はJや大学全国経験。しなやかな攻撃参加とクロス魅力の東福岡右SB森川英智はアーノルドのように

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昨年はプレミアリーグWEST開幕戦から先発出場。精度高いクロス、果敢な攻撃参加が魅力の東福岡高右SB森川英智

[2020シーズンへ向けて](※東福岡高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 目標としている選手は、リバプールのDFトレント・アレクサンダー・アーノルド。“魔法レベル”とも評されるキック精度を武器にアシストを量産するSBだ。アーノルドと同じく右サイドを主戦場とする森川英智(3年)は、新生・東福岡高でアシスト数を増やしている攻撃的SB。今年は「クロスも、攻撃参加も世界のトップレベル」のアーノルドのように、得意のクロス、攻撃参加から一つでも多くのゴール、白星を“赤い彗星”東福岡にもたらす意気込みだ。

「オーバーラップからのクロスや、状況によっての攻撃参加の部分を見て欲しいです」というように、森川の最大の武器はスピーディーな攻め上がりから繰り出すクロスだ。1年時から、全体練習後に様々なシチュエーションを考えながらクロス練習。試合を意識して磨いてきた武器は結果に結びつき始めている。

 1月の県新人戦では高稜高との準々決勝でゴールを演出。右サイドでのワンツーでPA深くまで切れ込み、最後はグラウンダーのラストパスが相手オウンゴールを誘った。九州国際大付高との準決勝でも前半に右サイドをスルスルと駆け上がり、ダイレクトクロス。これをFW長野星輝(3年)の頭にピンポイントで合わせて先制点をアシストした。

 昨年の県新人戦で「東福岡に入る以上、目標としていたトップチームでの出場」を果たし、プレミアリーグWESTでも、下級生ながら開幕から5試合連続で先発出場した。守備面での1対1の対応や状況・時間帯を考えた守備が不足していたことは課題に。夏以降、出場機会をなかなか増やせなかったことも確かだ。それでも、一方で今年に掛けて攻撃参加からのクロスで得点に絡む回数を増やし、ビルドアップやクロスでチームにプラスアルファをもたらせるようになってきたと実感している。

 新型コロナウイルスの影響によるチーム活動休止期間中はサッカーに飢えていた。九州内の強い高校でサッカーをしたいという理由で熊本から東福岡へ進学して3年目。強度の高い練習の成果をプレミアリーグやインターハイで発揮するつもりでいた。

 だが、シーズン前半の公式戦は中止に。「インターハイが中止になったり、公式戦、チーム練習もできない状況が続いて、とても進路のことが不安になりましたし、またみんなでサッカーがしたいという強い気持ちがありました」。悔しさや不安は簡単に拭えるものではない。だが、その思いを自主トレーニングでぶつけてきた。

「体力を落とさないように、走ったり、兄がいるので一緒にサッカーをして、意識高く、自分の課題に向き合って取り組んできました」。森川の兄・DF森川泰臣は熊本ユースから熊本トップチームへ昇格し、鳥取や藤枝にも在籍。また、昨年まで鹿屋体育大で活躍した兄・MF森川和命の姿も見てきた。次は自分の番。課題に向き合い、改善してきた成果を公式戦で発揮する。

 今季の目標について森川は、「試合に出続けて、自分の武器であるクロスや攻撃参加の部分が少しでもチームのプラスになればと思います。試合の中でたくさん自分の長所を出していきたいです。チームとしては、まだまとまり切れていない部分があるので、もう一度話し合ってチーム目標を決め、全員で勝利にこだわっていきたいです」。例年のようにチームメートたちと常に一緒にいることができた訳ではない。だからこそ、いつも以上に会話・話し合いを重ねて全員の力を集結すること。そして、森川は活動休止期間の思いもぶつけて泥臭く戦い、自分のストロングポイントを発揮して東福岡の勝利に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)

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