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昨季は右SBで飛躍し、全国3位。前への積極性と経験持つ帝京長岡DF酒匂駿太は“本職”FW起用も

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帝京長岡高のDF酒匂駿太は今年、“本職”のFW起用も。経験をチームに伝え、昨年超え、日本一を目指す

[2020シーズンへ向けて](※帝京長岡高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)
 
 昨年度は、夏にコンバートされた右SBのポジションで飛躍した。全国高校選手権3位・帝京長岡高(新潟)のDF酒匂駿太はフィジカルの強さ、球際、1対1に自信を持つプレーヤー。J内定選手3人に加え、年代別日本代表も複数いた昨年と比較される今年だが、「まとまり、頑張るところに期待している」(谷口哲朗総監督)という新生・帝京長岡を酒匂は前への積極性や全国の経験値で牽引する。

 酒匂は元々ストライカーとして帝京長岡に入学した。SQUARE富山U-15時代はFWとして日本クラブユース選手権(U-15)大会に出場し、浦和レッズジュニアユースからゴール。身体の強さに加えて動き出しも特長とし、帝京長岡では先輩FW晴山岬(現町田)と2トップを組んでも違和感なくプレーしていたという。そのFWを谷口総監督は「前に前にグイグイ行ける」という理由で昨夏に右SBへコンバート。酒匂も起用意図を理解し、攻撃参加だけでなく、守備面でも積極的に前へ出るなどチャンスをものにした。

 谷口総監督に「(SBで)開眼した部分がある」と認められた酒匂は、選手権全国大会で全4試合先発出場。3バック、4バックの右サイドでプレーし、その走力や対人の強さを発揮した。本人は仕掛け、ポゼッション、クロスの質の課題を認めた上で、「(昨年は)積極的な攻撃参加、守備の1対1、何より色々なシーンでデュエルすることが出来ました。色々なシーンでデュエルができた部分が成長していると感じました」とコメント。全国トップレベルの厳しい戦いの中で成長したことを実感している。

 現在は足首の手術から復帰を目指している最中。昨年は“帝京長岡らしい”攻撃性能の高いSBとして奮闘したが、復帰後は前への推進力をチームに加えるためにFW起用が想定されている。その一方、「攻守ともに献身的なプレーでチームに貢献し、正確なクロス、1対1の仕掛け方が上手いからです」という理由でMFルーカス・バスケス(レアル・マドリー)を目標とする酒匂は、バスケスのようにSHやSBでピッチに立つ可能性も。長身CB松村晟怜(2年)やDF三宅凌太郎(2年)ら下級生も台頭するチームの中で、前への積極性と全国での貴重な経験を持つ酒匂がどのポジションで起用され、力を発揮するかにも注目だ。

 酒匂は自身のライバルについて、「自分です。他人と比べる前に自分に勝たなければならないから」と語る。新型コロナウイルスの影響によってインターハイが中止となり、公式戦開幕が大きく遅れている状況。加えて自身は手術を経てランニングを再開したばかりだが、我慢の状況でもまず自分に打ち勝ち、ピッチでチームに経験を伝える。

 今季の目標は「去年試合に出ていた経験を生かし、チームを引っ張ることです。部員全員で日本一を獲ります」。酒匂は「心美しく勝つ」ことを目指すチームに誇りを持っている。そのチームが勝つことに全力で貢献する。タレント揃いだった先輩たちを上回ることが簡単でないことは確か。それでも、チームメートに意識高い日常を求め、自分も成長を遂げて目標達成に挑戦する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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