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誰より長かった“中断期間”…東京V藤本寛也、大怪我からの復帰戦で同点PK弾「やっと戻って来られた」

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東京ヴェルディMF藤本寛也

[6.27 J2第2節 東京V1-1町田 味スタ]

 誰よりも長かった中断期間を経て、土壇場での緊迫したPKを決め切った。後半アディショナルタイム、同点ゴールを決めた東京ヴェルディMF藤本寛也は「ちょっと緊張したが、何も考えずに強気で行こうと思った」と当時の心境を振り返った。

 藤本は昨年8月11日、J2第27節の鹿児島戦でペナルティエリア内にドリブルで駆け上がった際にバランスを崩し、右膝前十字靭帯損傷・右膝半月板損傷という重傷を負った。診断は全治8か月。長いリハビリ生活を過ごし、シーズンが変わった今年2月23日の開幕節・徳島戦(●0-3)も欠場していた。

 さらにその後、新型コロナウイルスの世界的流行で公式戦が中断。公式戦の空白期間は10か月にも及んだ。「ピッチに立てるありがたみはこの怪我を通じて感じたし、いろいろ支えてくださったみなさんのためにプレーしようと思った」(藤本)。ようやくピッチに帰ってきたこの日、出番はハーフタイムにやってきた。

「僕自身はすごくうれしかったし、楽しかったし、やっと戻って来られた。その気持ちが試合中に頭に浮かぶこともあった」(藤本)。緑色のショーツとソックスの間に肌色が見える左脚とは対照的に、右膝はテーピングとみられる白色でカバー。負傷の跡が残る装いでホーム味スタのピッチに向かっていった。

 オンラインで記者会見を行った永井秀樹監督は途中投入の意図を「だいぶ時間が経っての復帰なのでわれわれも慎重に使っていきたいと考えていた」と説明。またハーフタイムのロッカールームでは「寛也の復帰戦を良い形で飾ってあげよう」というゲキを飛ばし、ベテラン選手から熱い声が飛んだと明かした。

 投入にあたっての戦術的な指示は持ち味のスルーパスを通すこと。ユース指揮官時代からの愛弟子で「自分のサッカーを100%理解している」という藤本に対し、狙うべきエリアを具体的に落とし込んだという。実際に投入された5分後、藤本は同じく途中出場のFW山下諒也にスルーパスを通し、FW端戸仁のビッグチャンスを導いた。

 そして後半アディショナルタイム、最大の見せ場がやってきた。山下が相手DFに倒されてPKを獲得すると「クレビーニョが蹴るかなと思ったら、ボールを差し出してくれた」という藤本がペナルティスポットへ。GKとの駆け引きは「ほぼ見ていない」。自らの左足を信じて右のコースへ蹴ると、読んできた相手GKの指先をかすめたボールが見事にネットを揺らした。

「寛也に蹴れと言ったわけではないが、選手たちが決断して蹴った。決めてくれると信じていたし、きちんと決めてくれた」(永井監督)。このゴールでスコアを1-1とし、中断期間を挟んでの連敗は免れた。「久しぶりの公式戦で感触的にはまだ自分の納得いくものではないけど、これから調子を上げていって良いプレーができたら良い」。まずは初勝利へ、若きキャプテンの本領発揮はこれからだ。

(取材・文 竹内達也)
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