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「試合をやらせてあげたい」横浜F・マリノスフトゥーロが苦悩のスタート

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横浜Fマリノスふれあい事業部の望月選部長が新ユニフォームの隣で説明

 新型コロナウイルスの影響で、Jリーグに合わせる形で2月末以降、活動休止していたJリーグ初の知的障がい者サッカーチーム「横浜F・マリノスフトゥーロ」が27日、横浜市青葉区にある谷本公園競技場で始動した。

 例年は4月末に障害者スポーツセンター横浜ラポールで横浜マリノス社長や来賓を迎えて行われる保護者説明会だが、今年は新型コロナ対策で、屋外で約60名の選手と約40名の保護者が参加して短縮した内容で行われた。

 幸い、選手やスタッフに新型コロナの感染者はなし。選手たちは4チームにわかれて、約4か月ぶりに接触プレーをさけた軽めの練習を90分間行った。

 練習を指導した宮下幹生総監督はこう明かす。

「選手たちがこうして集まって仲間と会う姿が生き生きとしていました。選手たちも日常の生活でかなり我慢してきたこともあったと思います。また好きな仲間とこうして顔を合わせられたことで、気持ちが前向きというか、また目標が出来たんじゃないでしょうか。また早く日常に戻ってチームとしての活動が出来る日が来ることを願っています」

 この日披露された2020年度の新ユニフォームは昨年同様、トップチームと同じ。さらに、サッカーパンツにはトップチームにも入っていないフトゥーロだけの新しいスポンサーも入った。横浜市内にある住宅のエクステリアや窓、サッシの断熱改修を行う「WIDE ALUMI」という会社だ。明るいニュースが重なる一方で、喜んでばかりいられない現実もある。昨年までのように簡単には練習場を確保できないだけでなく、試合日程もまだ白紙だ。毎年行われている日産スタジアムでの前座試合や鹿児島ユナイテッドFCフューチャーズとのリーグ戦、毎年参加してきた各大会や横浜市社会人リーグも現在のところすべて開催されるのかわからない状況に置かれている。これでは選手たちに目標を与えづらい。宮下総監督が続ける。

「まず選手たちが日常の生活に戻れるように願っています。サッカーは二の次なんです。早く日常に戻れば、好きなサッカーをやっている選手たちに取り組める目標を作ってあげることが出来ます。このままではただ練習をしているだけで1年が終わってしまう。なんとかみんなにこんな大会をやると言ってあげたい、とは思います」

 ただ、新型コロナの収束状況によって活動の見通しが変わる。こればかりはいくら努力してもコントロールできないため、宮下総監督をはじめ、クラブ関係者にとっては悩ましい1年となりそうだ。

チームリーダーの小林佑平選手もこの日を待ちわびていた

 しかし、選手たちの声は明るい。久しぶりの練習に参加した安藤悠己選手(強化クラス・17歳。横浜市立日野中央特別支援学校3年)は「みんなと会えて練習出来て嬉しかったのと楽しかった。毎日自主トレとかやっていたたんで、思った通り体が動けて良かったなと。(学校が臨時休校になって)半分嬉しくて、半分やな気持ちになりました。嬉しい部分は学校が休みになったこと。部活が出来ないのと、マリノスでサッカーが出来ないのが残念でした」

 ゲームキャプテンを務めることが多い社会人の小林佑平選手(選抜クラス・21歳)は3月から自宅勤務になった。その間、自宅で出来る筋トレやランニングなのどトレーニングを続けていた。

「サッカーが出来ないのはちょっと辛かった部分もある。(サッカーが出来ない)この瞬間は何か自分に課せられた試練だと思って過ごしていました。(長く家にいたことで)家にパフォーマンスもモチベーションもどちらも落ちるところはあったんですけど、このままではいけないのでもっとこれから上げていきたいと思います。(試合が実施されたらすべての大会で)優勝出来るように、まずは個々人で、そこからチームに落とし込めるように頑張りたいです」

 試合のために練習が存在するが、今は練習できるだけでもありがたい状況だ。ピッチの内外でチームをリードしている小林の頭には、近い将来、試合で勝って喜び合う場面、そして昨年リーグ優勝をしたトップチームと同じように強い横浜F・マリノスフトゥーロになっている姿を思い描く。

誰も経験したことのない状況の中、選手たちはサッカーを楽しく安全に出来る未来(futuro)がくることを信じている。

今後の活動予定
7月4日(土)13:00~17:00 長浜公園
7月5日(日)13:00~17:00 谷本公園
7月18日(土)13:00~17:00 長浜公園

8月以降のスケジュールは横浜F・マリノスのホームページ、ホームタウン活動に掲載予定

(取材・文 内田和稔)

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